【巨人】上原で最速10敗「USA」解体

スポーツ報知
7回から2番手で登板した上原は、3失点で途中降板し、ベンチでタオルに顔をうずめた(カメラ・矢口 亨)

◆巨人4―5広島(15日・東京ドーム)

 巨人は、勝利の方程式「USA」の崩壊で広島に逆転負けを食らった。同点の7回、上原が菊池に勝ち越し弾を浴びるなどして2戦連続で救援に失敗。今後は勝ちパターンの継投から外れる苦渋の決断が下った。打線は9回に反撃も1点届かず。3カード連続の負け越しとなり、1950年の2リーグ制後、チーム最速で10敗に到達した。

 大歓声は、一瞬で悲鳴に変わった。1点差に詰め寄った9回2死満塁、マギーの打球は一塁へのライナーに。直前の1死満塁でゲレーロが犠飛でも放ってくれれば…。「たられば」の尽きない惜しい敗戦だった。由伸監督は悔しさを押し殺し「そこにチャンスを持っていったので、あとは何とかしてもらうしかないところなんだけどね」。

 常に、終盤に粘りを見せている。だが「あと1本が出なかった」が続いている。2回までに1点ずつを奪って逆転も、8回までは計3安打に抑え込まれた。停滞ムードを変えようと、同点の6回で先発・野上を交代。7回に上原を投入した。「場内の雰囲気を変えられる。チームにプラスに働く」と話していた通り、東京Dのボルテージは最高潮に達したが、背番号11は粘りきれなかった。

 前回10日のDeNA戦(東京D)で5安打3失点。わずか1死しか取れなかった反省から、真っすぐを適度に散らした。一方で広島打線の狙いは、高めの真っすぐ。スプリットと見極めるために、低めを徹底して捨てていた。2死後、2打席連発の菊池には高めに抜けたスプリットを左中間席に運ばれた。さらに丸への四球後、連打を食らって3失点。2戦連続KOに、指揮官も、ある決断をせざるを得なかった。

 報道陣に「信頼度は変わらないか?」と問われると、由伸監督は「特に、ね」と言葉を濁したが、斎藤投手総合コーチは「ああいう大事なところで出ていって前回と同じ感じだった。試合後はいろいろと話しました」と明かし「今後? そこは考えます」と帰路へ。その後、上原が対応し「(斎藤コーチに)今後はこういう厳しい場面で使うのは厳しい、と。4、5回とかいう早めのタイミングで作ったりとかいうのはあるでしょうね」と、勝ちパターンの継投から外れる配置転換を指示されたようだ。

 勝利の方程式「USA」の崩壊…。11日には沢村も打ち込まれている。勝つために、こだわりを捨てるしかなかった。今季10敗目はリーグ最速。開幕15試合での10敗は、2リーグ分立後の球団ワースト記録でもある。昨年7勝18敗と大差をつけられた広島相手に、また違った屈辱を味わわされた。

 セ・リーグ5球団との対戦を終えた。再度、傾向と対策を練り直し、最善を模索していくことが大事になる。最下位の響きは悪いが、まだ始まったばかりである(水井 基博)

 ◆巨人の「USA」 上原の「U」、スコット・マシソンの「S」、沢村の「S」、アルキメデス・カミネロの「A」の組み合わせ。今季の必勝方程式として期待された。

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