【巨人】野上、阪神に2連勝…甲子園ではセンバツ以来4767日ぶり白星

スポーツ報知
8回1失点で2勝目を挙げた野上

◆阪神1―10巨人(22日・甲子園)

 これぞウィン・ウィン! 西武から巨人にFA移籍した野上が阪神相手に8回1失点で2勝目を挙げれば、その人的補償として西武に移った高木勇がロッテ打線に6回2失点で移籍後初白星をマークした。FA移籍した投手と、その人的補償となった投手が移籍1年目の同じ日に勝ち星を挙げるのは、史上初だ。

 壁を破った。普段はクールな野上が感情を激しく表に出した。3点リードの4回。1死から福留、高山に連打を浴び一、二塁のピンチ。一発浴びれば同点の場面で大山を中飛、梅野を右飛に仕留め、グラブをたたいた。

 「4回以降はストライク先行でどんどんいけた。テンポを速くした」。リズムに乗った。キレのある直球と変化球を織り交ぜて攻めた。過去3戦で最長は6回。だが、6回以降は1人の走者も許さない。8回を5安打1失点。117球で今季2勝目。巨人移籍後、初勝利となった1日の東京Dから阪神には2連勝。“虎キラー”ぶりを発揮した。

 ちょうど13年前の春。05年センバツで神村学園のエースだった野上は、同じ黒土のマウンドに立っていた。創部3年目。投手は1人だけ。決勝には敗れたが、初出場で準Vに導いたことで、プロのスカウトから注目された。中学生までの夢は公務員。そんな少年の人生がこの場所で変わった。

 「出てなかったら、プロになれなかったかもしれない」。西武時代は甲子園で3戦0勝。30歳で甲子園プロ初勝利。05年4月3日のセンバツ準決勝・羽黒戦で4安打完封して以来、4767日ぶりとなる甲子園での白星に「感想? 特にないです」と笑った。

 ぶれなかった。この日も24のアウトのうち、14がフライアウト。セ・リーグに移籍後は球場の小ささに多少の不安があったが、スタイルを変えようとは一切思わなかった。「ドラフトからずっと、自分の良さを生かさないとと思っていた。9年間西武でやって、そして巨人が獲ってくれた。それは9年間西武でやってきたことがあったから。芯を食ったら本塁打は本塁打。一緒ですよ」と制球力で勝負する投手哲学は不変だ。

 菅野、田口と先発投手の粘投でつないでの3連勝。「昨日の田口の勝ちをムダにできない。勝ち越したらいいというわけではない。2連勝できたら3連勝を狙わないと」。我流を貫き、進化する背番号23。その背中が頼もしく見えた。(玉寄 穂波)

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