【巨人】由伸監督、63年ぶり「歴史的勝利」20得点大勝で5割復帰

スポーツ報知
5回、坂本勇が今季1号3ランを放ち生還、前橋の巨人ファンがタオルを回し大喜び(カメラ・竜田 卓)

◆巨人20―4中日(25日・前橋)

 巨人が群馬・前橋で63年ぶりの「歴史的勝利」を飾った。ゲレーロが3打席連続でタイムリー、坂本勇が1号3ラン、岡本には5号2ランが飛び出すなど5、6回に2イニング連続で打者一巡の猛攻。チームは17安打で1955年以来となる1試合20得点。65~73年のV9時代にもなかった快挙だ。今季初の5連勝で、18日ぶりに勝率5割に復帰。上昇気流に乗って、28日からゴールデンウィーク9連戦に臨む。

 G党の大合唱が止まらない。スコアボードに躍る信じられない数字を背に、巨人ナインが成長した姿を見せつけた。昨年、ここ前橋で中日・大野雄に2安打完封負け。あれから1年。17安打20得点の爆勝だ。1試合20点以上は55年6月22日の広島戦(後楽園)以来63年ぶりで、高橋監督は「えっ、そうなの?」と驚きを隠せなかった。

 「全員がよくつないでくれた。坂本にもようやくホームランが出たし、本当にいい攻撃をたくさんできたと思う。ランナーを進めるチーム打撃もできていた」

 主将の節目の一打から、打線が着火した。初回先頭、坂本勇が左翼線二塁打を放ち、通算300二塁打を達成。ゲレーロの中前適時打で先制すると3、4回にも2点ずつ奪った。勇人がつくり、主軸でガツン。上位打線のリズミカルな攻撃に「チャンスで打ってくれることをこちらも求めているし、クリーンアップはそれが仕事だから」と、ご満悦の序盤だった。

 5回には無死一塁から4連打で3点。なおも一、二塁で坂本勇が1号をバックスクリーン左にぶち込んだ。2死一塁では岡本が一撃。打者一巡11人の猛攻は、15年8月19日、阪神戦(東京D)の5回に12点を奪って以来の1イニング8得点。その頃、代打の切り札として待機していた阿部は「こいつら打つな、すげーな」と口をあんぐり。「出番ないな」と寂しそうに“刀”をしまい、観戦モードに切り替えたようだ。

 6回も打者一巡で7点。勇人、ゲレーロ、岡本、亀井と猛打賞が4人も出た。昨年、チーム打率2割4分3厘の打線は、2割8分2厘でリーグトップ。6連敗を喫し、最下位まで沈んだ際、由伸監督は「今は我慢の時」とナインを信じ、待った。キャンプ前には「シーズン入ってすぐに打てるとは思っていない。徐々に芽を出してくれれば」とにらみ、言葉通りに打線を開花させた。1日2000スイングを課した昨秋、今春と鍛錬の日々が、記録をつくり上げたといっていい。

 若返りを図った今季、練習中は阿部が打撃投手を務め、若手に打撃指導もする。主将の坂本勇が若手に積極的に声をかける姿も目立つ。坂本勇の「やりやすい雰囲気の中でやれたらいいし、グラウンドに出たら年齢は関係ないので思い切りやってほしい」という配慮も、新チームに染まっている。

 初の5連勝で借金を完済した。指揮官は「5連勝は大きい。(次戦まで)2日空くので、体と心を休めて、また週末からしっかり戦いたい」と来たる9連戦へ気を引き締めた。試合後は前橋からバスで帰京。気持ち良く帰れるのでは?の問いには素直に「ん? そうだな」と笑顔満開の由伸監督だった。(水井 基博)

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