【巨人】43歳上原、カットボール解禁「いろいろ変えてかないと」

巨人は28日のヤクルト戦(東京D)から、勝負のゴールデンウィーク9連戦に臨む。27日は東京Dで全体練習を行い、上原浩治投手(43)がこれまで実戦で封印していたカットボールの練習へ本格的に取り組んだ。3学年後輩で、メジャー挑戦前には長年バッテリーを組んだ阿部慎之助内野手(39)から助言を受けて熱投した。15日の広島戦(東京D)で2敗目を喫してから登板なし。縦のスプリットだけではなく、横の変化も加えて復活を目指す決意を示した。
実戦を想定して内角を厳しく攻めた。東京Dの外野で上原が行ったキャッチボール。阿部が左打者役を務めた。約20メートルの距離でブルペン捕手が座り、スタッフが球審役という本番仕様で、胸元に食い込むカットボールを投じた。阿部はうなずいてOKサイン。少しでも良い感覚をつかむために連投した。
「試合で使おうかなと思って投げました。いろいろ変えてかないといけないですから」
この日は、3学年下の阿部に「何がいけないかな」と相談。メジャー移籍前の08年まで長年バッテリーを組んだ後輩へと、自ら助言を求めた。投球フォームや腕の振りなどを打者目線、捕手目線でアドバイスしてもらいながら、復調のきっかけを模索した。
10年ぶりに巨人に復帰した今季は、開幕から4試合連続無失点。直球と縦に落ちるスプリットのシンプルな配球で好スタートを切ったが、直近の2試合では連続して3失点で「勝利の方程式」から外れた。投球の幅を広げるため、「横の変化も練習していかないといけない」と、スライダー系で小さく曲がってバットの芯を外すカットボールを特訓。打者・阿部への投球は有意義な練習になった。
カットボールは過去にも投げたことはあるが、今年は使っていなかった。以前、自身の球種について「もともとスライダーピッチャーでプロに入ったけど、僕は1個覚えると1個忘れるタイプ。フォークを覚えたらスライダーの投げ方を忘れてしまった」と話していた。そんなベテランのカットボール解禁は決意の表れ。相手に「ある」と思わせるだけでも大きい。
2敗目を喫した15日の広島戦を最後に登板がない。この期間、技術だけでなく、「疲れもある」と話していたコンディション調整にも重点を置いた。木村投手兼トレーニングコーチは「彼は練習をすごくやるタイプ。43歳という年齢を考えれば、量をやりすぎて質が落ちても良くない」と若手より走る本数を減らすなど、適量のメニューを構成。状態は上向きだ。
この日は遠投、外野のポール間走、縄跳びの二重跳びも行ってたっぷり汗をかいた。「横の変化」という新たな引き出しを加えたレジェンドが、巻き返しに燃えている。(片岡 優帆)
◆上原の球種 プロ入りまでは自身で「スライダーピッチャー」と称するように、曲がり球を得意としていた。プロ入り後にフォークに磨きをかけ、先発時代はカットボール、シュート、カーブを投げたこともあった。リリーフに転向した07年には主に直球とフォークの2種類に絞って投球。メジャー移籍後もリリーフが主な役割で、直球と縦のスプリットがメイン。カットボールを試した時期もあったが、横の変化球の割合は極めて少なかった。