【巨人】菅野、二塁踏ませず今季初完封…ビートたけしの「名言」糧に3勝目

スポーツ報知
2安打完封で3勝目を挙げガッツポーズをする菅野(カメラ・中島 傑)

◆巨人3―0ヤクルト(28日・東京ドーム)

 巨人はエース・菅野が2安打の今季初完封で3勝目をマークし、チームは2016年以来の6連勝を果たした。初回、ゲレーロの左翼線への二塁打で吉川尚が一塁から激走して先制ホームを踏むと、続くマギーも2者連続の適時二塁打で続いた。8回には敵失に乗じて1点を加え、エースが無四球の快投でヤクルト打線を封じ込めた。ゴールデンウィークが始まり、9連戦の大事な初戦を快勝スタートで飾った。

 最後まで付け入る隙を与えなかった。9回2死、菅野は荒木にこの日5度目のフルカウントとなったが、冷静に遊ゴロに抑えて試合を締めた。二塁すら踏ませず「最高の気分。何物にも代えられない。前回やられて悔しい思いもあったので、小林とうまく攻められたと思います」とガッツポーズ。6日に神宮で5失点したヤクルトに115球、2安打無四球完封でやり返し、小林と笑顔で手を合わせた。

 早打ちの相手に速球主体で打たせた。併殺含めゴロアウトは17個。最大の勝負所は7回1死、3番・山田哲の場面。フルカウントからファウルで3球粘られた後、鬼の形相で二邪飛に打ち取った。流れを読み、絶対に四球を出さないというエースの意地を見た。

 「今日、一番のターニングポイントだった。2点差で(四球を)出して(一発同点で)バレンティンは嫌だった。あそこを抑えられたのが、最後まで投げられた要因だと思います」

 昨年は沢村賞。投手として最高の栄誉を手にしても貪欲に上を目指す。その胸中にはある言葉がある。

 「どんなに高いワインより、喉が渇いたときの1杯の冷たい水のほうがうまい。お袋が握ってくれたおにぎりよりうまいものはない」

 タレント・ビートたけしの「名言」だ。お笑い、芸術、映画など幅広く活躍して頂点を極めても、絶対に初心は忘れない一流の哲学に共感。「いい言葉ですよね」といつでも見られるようにスマートフォンに金言を保存し、糧にしてきた。

 「どの世界でも同じだと思いますが、もうこれでいいやと満足しちゃったら、その人の伸びしろはなくなってしまうと思います」

 野球をうまくなりたい、という初心は不変。オフに挑戦した高速シンカーは、操るのが難しく開幕戦後に封印した。だが、シンカーを縦に落とす意識で腕を振ってきたためか、様々なデータを測定できる「トラックマン」では、昨年よりリリースポイントが若干高くなっている。「意識はしていないです」という副産物で直球により角度がついて威力が増したように見える。フォークの落ちも向上。新たな発見を力に変え、進化は止まらない。

 上を目指し試行錯誤する中で、開幕直後は心技体が一致せず苦しんだ。それでもすぐ修正し、2試合連続完投。9連戦初戦で価値ある快投に、由伸監督は「ありがたい。一人で投げきる投手が菅野、山口俊といると頼もしい」とたたえた。

 休養日だった26日に選手、スタッフで決起集会を開いたチームは、センター長野の好守備など一丸となって6連勝。貯金「1」となった。「まだまだ調子は上がる。もっと上がると信じて投げ続けたい」と菅野。上昇ムードがさらに高まった。(片岡 優帆)

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