【巨人】菅野と筒香の名勝負 154キロ三振斬りに「また違った自分を引き出せた」

スポーツ報知
6回2死、筒香を空振り三振に抑えてガッツポーズする菅野(カメラ・矢口 亨)

◆DeNA0―0巨人=延長12回規定により引き分け=(4日・横浜)

 巨人は中5日で先発した菅野が、DeNA打線を相手に8回2安打無失点の快投。4月20日の阪神戦(甲子園)の9回から、3試合で計18イニングを無失点と圧巻の投球を続けている。バント失敗など攻撃陣にミスが出たのは反省材料だが、エースとリリーフ陣の力投で、巨人・DeNA戦では前身の大洋時代の1982年以来、36年ぶりとなるスコアレスのドローに持ち込み、2位に浮上した。

 ねじ伏せた。菅野が筒香との真っ向勝負を制した。0―0の6回2死、この日最速となる154キロの高め直球で空振り三振。拳を握ってガッツポーズした。

 「力で押し切れたのは自分自身いい部分というか、また違った自分を引き出せたのかなと思います」

 互いにナンバーワンと認め合う2人の「平成最後の名勝負」。満員札止めとなった大観衆を魅了した。

 中5日の菅野は初回2死一、三塁をしのぎ、2~6回はテンポ良く無安打に抑えた。8回117球2安打無失点。「状態は良くなかったですが、修正して投げられた。満足いく投球でしたし、前回(4月28日ヤクルト戦)完封しましたが、今日の方が価値があると思います」という熱投が引き分けにつながった。

 筒香とは昨年のWBCで日の丸を背負い、シーズンでは18打数4安打、打率2割2分2厘、0本塁打、5三振と圧倒した。日本の主砲とエースの間には「逃げる」という選択肢はない。

 「(対筒香は)楽しいですしワクワクします。でも『楽しい』の部類が違うというか。できれば対戦したくないですけど、それを乗り越えた時の喜びというのは自分にしか分からないものがある。みんなが僕の背中を見ている。逃げたら、あいつ逃げているな、とみんなが思うと思いますよ」

 全力投球と強振のぶつかり合い。難敵だからこそ、抑えて得られるものは大きい。今年初対戦となったこの日、初回1死二塁で与えた四球は攻めた結果だ。4回無死では丁寧な外角攻めで中飛に抑え、対筒香は2打数無安打。戦う姿勢は味方に伝わったはずだ。

 この日、マリナーズのイチローが球団の会長付特別補佐に就任。来季以降にプレーする可能性は残るとはいえ、球界に衝撃が走った。オリックス時代のイチローは90年代後半、松坂らと「平成の名勝負」を演じた。今は菅野も日本一の投手として夢を与える役割。「いい勝負を一つでも多くやりたいです」と決意している。

 来年5月から新元号となるため、菅野と筒香の「平成の名勝負」は最終章。大型連休のハマスタで子どもたちにすごみを見せた。16年に自己最長30イニング連続無失点があるが、これで18イニング連続無失点。防御率は2・30に向上した。

 9回からカミネロ、マシソン、沢村、宮国が1イニングずつ無失点リレー。価値あるドローで2位に浮上し、由伸監督は「投手が全員良く投げてくれた」とたたえた。敵地・広島で連敗して迎えた一戦。エースの快投がチームの雰囲気を好転させた。(片岡 優帆)

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