【巨人】今季初スタメン「4番・一塁」阿部が待望の1号「勝てりゃ良かったけど…」

◆DeNA12―8巨人(6日・横浜)
巨人は阿部が「4番・一塁」で今季初のスタメン出場。待望の1号を放ち、通算400号へ残り11本とした。打線はゲレーロが2打席連発、坂本勇が3号と、今季最多の1試合4発が飛び出し、8得点と好調を維持。しかし、先発の野上が3回途中7失点でKOされると、投手陣はその後も失点を重ね、計18安打12失点と踏ん張れなかった。ゴールデンウィークは4勝3敗1分けだった。
広島新井のように 先発&代打構想 仕事を果たしても、勝てなければ意味がない。試合後、阿部は疲れ切っていた。「打ってもねえ。1号? 勝てりゃ良かったけど…。ふう…」。今季初のスタメン、しかも、いきなりの4番起用に応えた。百戦錬磨のベテランには由伸監督の短い言葉だけでその意図は伝わった。
告げられたのは球場に到着して、すぐだった。由伸監督に「頼むな」と肩を叩かれ、一気に緊張感が高まった。先発・野上を始めとした投手陣が4回までに計10失点も「相手に取れて自分らが取れないことはない」が持論の男は、一塁から反撃態勢を探っていた。
8点を追う6回。ゲレーロの2ランが飛び出した直後、京山から右中間席中段に今季1号を放り込んだ。5点差まで詰め寄る一撃で、ベンチに追い上げムードができあがった。「(代打ではなく)1試合打席があると、きっちりその中で合わせるのは大したもん」とは指揮官。17打席無安打のマギーを先発から外しても、遜色ない存在感を示し「今後のバリエーションに? そうだね」と即答した。
もちろん、マギーの攻撃力は必要だ。今後、岡本に疲れが見えてきたら、一塁・阿部、三塁・マギーで臨めばいい。阿部を、広島・新井のように、時に代打、時に先発でうまく回していくことで打線はさらに充実するはず。これが、当初の由伸監督の構想だった。
「広島の場合、新井を外しても出てくる選手がいるからできること。それに応えている新井も大したもの。阿部はそれができる。チームに求められているもの、置かれている立場を理解しているだろうからね」
由伸監督信頼して ベンチ待機辛抱 岡本が想像以上に“出てきた”から、指揮官の予定もいい意味で狂った。開幕30試合目。マギーが疲れてきたタイミングを見計らっての起用だった。開幕直前、慎之助を呼び寄せ、こう言った。「今年は代打でスタートしてもらう。(坂本)勇人と(菅野)智之を支えてあげてほしい」。この言葉があったから、“万年レギュラー”の男が、ベンチ待機を辛抱できたわけで、2人の信頼関係があってこそだった。
9連戦を雨天中止を含み、4勝3敗1分けで終えた。この日の敗戦は序盤の大量失点が全て。それでも、4番を中心とした打線は8点も奪い、追い詰めている。指揮官も「それぞれが1打席を大事にして、点を取りにいっていた」と悲壮感はなかった。まだ、団子状態のセ・リーグ。戦う術がまた、広がってきた。(水井 基博)