【巨人】沢村、圧巻の150キロスプリット 絶妙けん制に「思い出した」過去

スポーツ報知
6回途中から2番手で登板した沢村(カメラ・矢口 亨)

◆巨人3―1阪神(9日・東京ドーム)

 巨人が阪神との接戦を制し、連敗を2で止めた。1点リードの6回無死一、二塁から救援した沢村は、150キロの高速スプリットを駆使してロサリオ、福留、糸原を3人で料理。危機を脱すると、2回0封の力投。マシソン、カミネロへつなぎ無失点リリーフを完成させた。打線は開幕戦で敗れたメッセンジャーを攻略。初回に岡本が左前打で10試合ぶりの打点を挙げ、亀井は6回に3号ソロなど2打点の活躍だ。先発の吉川光は6回途中1失点で2勝目をマークした。

 チームを思う気持ちが白球に乗り移った。沢村は気迫を前面に出して阪神打線を圧倒した。1点リードの6回1死二、三塁から福留を空振り三振。続く糸原は150キロの鋭く落ちる高速スプリットで追い込み、最後は高めの153キロ直球で三邪飛にねじ伏せた。ガッツポーズ、絶叫。1点もやれない状況での完璧な火消しに、感情を爆発させた。

 「チームが連敗していたので、何とか勝ちにつなげられて良かったです」

 6回に先発・吉川光が連続四球で無死一、二塁として降板。同い年の沢村が救った。7回も続投。無死一、二塁から二塁けん制球のサインプレーを完璧に決め、大山をアウトにした。過去には試合中のけん制球のサインミスで阿部に“カツ”を入れられたこともあるが、「思い出しました。サインミスはもうしません」と冷静に対応。2回無失点の熱投で勝利を引き寄せた。

 3日の広島戦(マツダ)では吉川光が5回1失点と好投。6回から沢村が登板したが、同点とされ左腕の白星が消え、チームも逆転負けした。翌4日のDeNA戦(横浜)。沢村はチーム一番乗りでグラウンドに登場。「昨日は昨日。今日は今日」と早出練習で黙々と準備する姿があった。気持ちの切り替えが重要と感じる一方で、先発投手への思いは強いものがある。

 「僕も先発の時がありましたが、勝ちがつくかつかないかで1週間の気持ちの持ち方は全然違う。誰に対しても、勝ちをつけてあげたいなという気持ちは常に持っています」

 現状、ブルペンの日本人投手は43歳上原の次が30歳の沢村。若手との橋渡しの意味も込め、尊敬する上原への“いじり役”にあえてなり、冗談を言って場を盛り上げることもある。レジェンドの「なめてんのかお前」は愛されている証し。「誰かがそういう役割をしないと」と風通しの良い空気を作る。遠征先では救援陣で食事に出かけ「リリーフ会」で結束。全てがチームを思っての行動だ。

 試合前には、円陣で斎藤投手総合コーチから「何点差であろうと、中継ぎは1点でも少なくいこう」とゲキが飛んだ。開幕から打線好調で大勝も多く、16勝中8勝が4点差以上。勝ちパターンが7日間登板なしという時期もあったが、長いシーズン、接戦をいかに勝つかが重要になってくる。

 「チームスポーツですし、いけと言われたところでいける準備をするだけです」

 日々、新たな気持ちでフル回転する沢村の熱投で、チームは貯金「1」となった。(片岡 優帆)

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