【巨人】菅野、7連続含むオール空振り13Kの無双完封!無数の「引き出し」で27回0封

◆巨人6―0中日(11日・東京ドーム)
巨人はエース・菅野が今季2度目の完封で4勝目、チームを3連勝へと導いた。2回1死から球団タイの7者連続三振を奪うなど、自己最多に並ぶ13奪三振の力投。7回無死二、三塁のピンチも剛球でねじ伏せ、5安打で中日をシャットアウトした。クリーンアップを組み替えて臨んだ打線は、長野が2回に先制2点二塁打。試合前まで25打席連続無安打だった不調のマギーも、8回にダメ押し4号3ランを放つなど3安打3打点でベンチの期待に応えた。
打たれる気配がなかった。ギアを最大限に上げた菅野が無双状態に入った。9回1死一、三塁。6点差は関係ない。4番ビシエドに150キロ超えの速球で内角を徹底的に攻め、最後は外角スライダーで空振り三振に斬った。全て空振りで自己最多タイ13K。圧倒して最後まで「0」を並べた。
「意地で抑えました。あそこで1点でも取られたら最後マウンドに上げてもらった意味がない」
初回、1番大島に内角直球を右前に運ばれた。中日が速球狙いと察し、小林と話して2回から変化球を多用した。特にフォークが有効で、2回の福田から球団タイ記録で4人目の7連続三振。相手の対策を上回る「引き出し」の多さを発揮した。
「誠司とフォークを序盤から使っていこうと話していた。後半はよりストレートが効いた。試合トータルでいい組み立てができた」
3―0の7回は無死二、三塁で内野定位置。「全員三振を取るつもりでいた。1点取られたら展開が変わっていた。この試合の分岐点だった」。ビシエド遊飛の後、福田、藤井を直球で空振り三振に抑えて絶叫した。普段は三振を意識しないが、勝負所で価値ある三振ショーでねじ伏せた。
今年は試合ごとに左足の上げ方が微妙に違う。ゆったり上げた日もあれば、この日のように早めにスッと上げる日もある。相手のタイミングを外す、という問題ではなく、「その時の体調によっていろいろやっています」。日々、変化する自分の状態を入念に分析し、その日の最善のバランスを模索。配球と同様に「引き出し」の多さが際立つ高度な技術で進化が止まらない。
2連勝した4月下旬でも「まだごまかしてやっている感じがある。もう5段階ぐらい上げたい」と飽くなき向上心を見せていた。自己最長30に迫る27イニング連続無失点にも「数字と闘うと苦しくなる。いつか点は取られる」と冷静だ。
「先発投手としての個人の責任、役割はマウンドに上がるまで。マウンドに上がったら一人じゃなく、チームとして戦うわけですから。勝つことが全てです」
8回無失点も0―0で引き分けた前回4日のDeNA戦(横浜)。四球で代走が送られたマギーを、ベンチの奥から最前列まで出てハイタッチで出迎えた。この日は好守備の亀井に拍手を送って感謝。野手が「菅野のために」と思うような振る舞いが、チームの強い結束力の源になっている。
リーグ最多56イニングで最少タイの6四球。防御率は1点台に突入し、セ2位の1・93に向上した。東海大相模高の後輩・小笠原に格の違いを見せ、「完封しかないと思っていた」というエースに、由伸監督も「そんな感じがすごく伝わってきた」と絶賛した。オレンジユニホームの「橙魂デー」は今季3戦全勝。絶対エースが中日を完膚なきまでにねじ伏せた。(片岡 優帆)