【巨人】“BIG打線”だ!阿部から大量得点「まだまだ代打に甘んじててはいけないんだな」

スポーツ報知
7回1死満塁、打者・亀井の時に相手の遊ゴロ失で生還したゲレーロ〈5〉を笑顔で迎える阿部(カメラ・関口 俊明)

◆ヤクルト4―12巨人(16日・鹿児島)

 BIG打線がヤクルトをのみ込んだ! 巨人は4回、阿部の左前打から計10人で7点を奪うと、7回にも打者一巡で4点。先発野手全員を含む14安打で計12点を奪った。今年、1イニング5得点以上が8度で2ケタ得点も7度と38試合終了時点で昨年を上回る。3回には坂本勇が4号ソロと、6回1失点と粘投した先発・吉川光に3勝目をプレゼント。ビッグ(B)・イニング(I)・ジャイアンツ(G)打線なら、2・5ゲーム差に迫った首位・広島をたたき落とせる。

 芸術的な一打に酔いしれていると、暇なく快音が響き渡った。右へ左へ、6本のヒットが飛び交い、スコアボードには「7」がともった。終わってみれば12点の快勝劇。由伸監督は「ミスもあった中で1点で終わらず2点、3点とね」とうなずき、拍手を送った。

 鹿児島名物・黒豚好きな“阿部どん”から、猛打がさく裂した。同点の4回先頭、慎之助が体を「くの字」に折り曲げながら左前へ流した。原の低め外寄りシュートを、無理なくはじき返す技ありの一打。スライダーとシュートで左右へと散らしてくる右腕に対し、「無理には引っ張らない」が脳裏にはあった。チーム打撃で先陣を切ると、背中を追いかけてきた若武者たちが、見習い、続いた。

 もっか2戦連発中の岡本は、シャープに振り切り、右前安打でつないだ。一、三塁で得点圏4割超えの“亀様”が右越え適時打で勝ち越し。長野は左前へヒットを放ち、突き放した。坂本勇のタイムリーに続き、吉川尚は左中間へ2点三塁打をマーク。相手のミスも絡みながら一挙7点を奪い、4月30日の同カード(東京D)の5回に刻んで以来のビッグイニングにした。鹿児島のG党もそりゃあ、絶叫のオンパレードでごわす。

 “原攻略”のきっかけを作った阿部どんは「結果的にいいヒットだった。みんなここというところは分かっているからね」。7回1死では右翼線にヒットをかっ飛ばし、代走を告げられた。そこから、またもつながり4得点。存在の大きさを示した。そう。不思議な力を持った“あの人”の言葉を実行したまでだった。

 まだ開幕して間もない頃、食事中にたまたま占い師に出会った。「あなたは常に王様じゃなくちゃいけない」。阿部がプロ野球選手であることも知らないその人の言葉は、信じるも信じないも、ただ胸にグッときた。「まだまだ代打に甘んじててはいけないんだな。奪うつもりでいかないと」。そう思えた、ひとときだった。

 阿部とマギーによる“日替わり4番”も、今や武器の一つ。今年、ビッグイニングが多い理由について、指揮官は「相手にミスが出ても、その後もつないでいこうと、選手みんながそういう意識が出ている」と分析した。もう、こう呼んでもいいかもしれない。「BIG打線」。「(B)ビッグ(I)イニング(G)ジャイアンツ」だ―。1イニングに5点以上は今年、すでに8回目。2ケタ得点も7戦もある。昨秋、今春と徹底的に振り込んだ成果がチームの底上げを実現させ、若手とベテラン、新戦力が融合してきた。これぞ、「BIG打線」である。(水井 基博)

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