【巨人】山口俊、圧巻の2安打完封!絵画鑑賞で磨いた「第六感」働かせて快投

スポーツ報知
完封で4勝目を飾った山口俊は、スタンドにサインボールを投げ込んだ(カメラ・関口 俊明)

◆巨人8―0広島(22日・宇都宮)

 巨人の山口俊が2安打11奪三振完封で約1か月ぶりの白星となる4勝目を挙げた。新潟、長野、そして宇都宮。地方球場での白星は早くも3つ目。打線は3回、亀井、長野が連続タイムリー、8回には岡本が2試合連発となる9号3ランを放つなど3安打4打点の活躍。チームは首位・広島から12安打で8点を奪い、同カードの連敗を4で止め、ゲーム差を3・5に縮めた。

 己のシックスセンスを信じた。山口俊は相手の狙いを察し、捕手・小林のサインに首を振った。4―0の4回1死満塁。野間に粘られ、フルカウントから11球目に選んだのは直球。「力でいきたかった」と高めの146キロで空振り三振に仕留めた。続くバティスタも三振。この日最大のピンチを抑え、勢いを加速させた。

 5回まで88球とやや球数が多かったが「4回のピンチを乗り切って完封を頭に置いて投げていました」。8回終えて123球でベンチに戻ると、斎藤投手総合コーチに「どうする?」と聞かれ「行きます」と続投を志願した。133球、2安打で移籍後初、通算6度目の完封。6回以降パーフェクトは圧巻だった。

 4月24日の中日戦(長野)以来白星なし。この1か月の間、山口俊は「第六感ってすごく大事ですね」と漏らした。第六感(シックスセンス)とは視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚の五感を超え、理屈で説明のつかない直感や勘のこと。結果を欲しがる中、マウンド上で打者を見る力、洞察力が欠けていたと自己分析した。

 趣味の一つが絵画鑑賞。これまで美術館やデパートの展示会に何度も足を運んできた。3試合連続黒星だった今回も、気分転換で行きたいところだが、調整や体調管理を優先させて控えた。それでも、絵について考え、忘れかけていた「感じる力」を思い返した。

 「絵って面白いですよ。魂がこもっていて引き込まれる。例えば、同じエベレストの山でも、描いた画家によって見え方が全然違うんです。そういうちょっとした変化に気づく力はすごく大事だなと。それが第六感ですよね。野球につながる部分もあると思って、絵は意識して見ています」

 日頃の練習から視野を広げ、他の投手のキャッチボールも熱心に観察してヒントを探した。考え、自分を見つめ直し、「自信を持って真っすぐを投げられるようになった」と強さを取り戻した。この日は抜群の観察力で狙いを絞らせず、ストライク先行で圧倒。由伸監督も「持ち味というかタフさが出た」と絶賛した。

 今季8登板中、4度の地方球場は全て完投。4完投は12球団トップだ。1日に敵地・マツダで6失点で敗れた広島へのリベンジも成功し「最高の結果になって良かったです」。第六感を働かせたスタミナ満点の快投で、宇都宮のG党を沸かせた。(片岡 優帆)

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