【巨人】由伸政権、阪神に初3タテ食らった…昨年の悪夢打ち払え!

スポーツ報知
2回無死二塁、中谷(左)に2ランを打たれマウンド後方で立ち尽くす野上(カメラ・矢口 亨)

◆阪神9―1巨人(27日・甲子園)

 巨人が交流戦前最後の試合で阪神に完敗。4連敗で4月24日以来、33日ぶりに借金を抱えた。阪神に同一カード3連敗を食らうのは4年ぶりで、由伸政権では初の屈辱。阪神の高卒2年目・才木に6回無失点に封じられ、プロ初勝利を献上。先発・野上は5回4失点で4敗目となった。「借金1、4連敗、首位・広島と5・5ゲーム差」での交流戦突入は、球団史上ワーストの13連敗を喫した昨季と同じ状況。交流戦は29日開幕。チーム一丸で負のデータを乗り越え、パの強敵を攻略したい。

 巨人選手の誰もが、キツネにつままれたような表情だった。9回、1点を返し、なおも1死満塁。長野の左翼への大飛球を中谷がキャッチ、送球に移る際に握り損ねて落球した…かに見えた。だが、土山三塁塁審の判定はノーキャッチ。白球は左翼から三塁、二塁へと転送され、順にフォースアウトが宣告された。

 “レフトゴロ併殺”という幕切れに、由伸監督が審判団に抗議するも当然、判定は覆らず。試合後は「言いたいことはあるけど、ここで言っても行き違いがあると嫌なんで」と話すにとどめた。

 ただ大差の展開では“不思議な結末”だとしても敗戦を素直に受け入れざるを得ない。打線は19歳右腕・才木の前に、6回まで2安打と沈黙し、プロ初勝利を献上。9回に完封を逃れるのがやっとだった。4月下旬に同一カード3連勝を飾った甲子園で、3タテ返しを食らい、4連敗。4月24日以来となる借金生活に突入した。

 ゲレーロの不調が痛い。7番に入って2試合目のこの日も3打席凡退し、これで18打席連続無安打。打点も16試合連続で挙げていない。由伸監督が「ゲレーロだけじゃないけど、打ってもらわなくちゃいけない選手の一人」と復調を願う助っ人は、試合前練習でフリー打撃の持ち時間を終えると、小関打撃コーチとブルペンにこもって志願の特打を敢行。必死に汗を流すが、トンネルの出口は見えない。

 野上も簡単に試合をワンサイドにしてしまった。2回、中谷に2ランを被弾。4、5回はともに四球をきっかけに失点を重ねて5回を4失点。4敗目を喫し「状態は良くなかった方だけど、そういう中でもゲームメイクしないと」と唇をかんだ。5月は1勝3敗、防御率8・50と不調。リーグワーストの11被本塁打も含め、目を覆いたくなる数字が並ぶ。

 由伸監督は就任以降、若手とベテラン、そして新戦力の融合を掲げてきた。若い力では岡本、吉川尚がレギュラーとなり、坂本勇、亀井、長野ら現有戦力が持ち味を発揮。そこに4番候補として迎えた昨季の本塁打王ゲレーロに、FAで加入し、指揮官が菅野、田口、山口俊と並んでローテ4本柱と期待する野上とが“額面通り”の実力を発揮して初めて、真の底上げを生み出す。投打の補強の目玉なのだから、期待値は当然高くなるが、復調なくして躍進はあり得ない。

 この日は小林がコンディション不良で欠場。ベンチ入りメンバーからも外れるなど苦しい台所事情もあった。4連敗、借金1で迎える交流戦。13連敗を喫した昨年と同じ足跡をたどる。だが、打線の破壊力は全く違う。そこは断言できる。「早く連敗を止めたい? それはそうだね」と指揮官。逆風の中でも強い気持ちで“試練”となりつつある交流戦へと向かう。(西村 茂展)

 【昨季のG交流戦VTR】4連敗で交流戦に突入した巨人は楽天、オリックス、西武と3カード連続で3タテを食らい、連敗は球団史上ワーストの13となった。続く日本ハムには1勝2敗だったが、ソフトバンクに2勝1敗と勝ち越すと、ロッテには3連勝。最終戦では亀井が延長12回、涙の逆転サヨナラ3ラン。6勝12敗で交流戦の最下位を脱出し、10位だった。

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