【巨人】由伸監督、ビッグイニング打線で交流戦V宣言

日本生命セ・パ交流戦は29日に14年目のシーズンが開幕する。巨人・高橋由伸監督(43)は28日、交流戦での“優勝”を宣言。昨年13連敗を喫した嫌な思い出も振り払う覚悟を決めた。27日までの阪神戦(甲子園)では3連敗を喫し、借金1の4位に転落。昨年同様、チーム状態が良くない中でのリスタートだが「今年の打線は去年とは違う部分がある。楽しみ」と前を向いた。「優勝? そりゃそうだろ。うまく戦いたい」と勝率1位を目指すべく気合を入れた。(構成・水井 基博)
必死に、頭の中を切り替えた。昨年の、屈辱的な思いはいまだに消えることはない。だから、同じ轍(てつ)を踏むわけにはいかない。由伸監督は29日から始まる交流戦での巻き返しを誓った。
「今、うちが負けてるからというのもあるけど、ただ、セ・リーグ全体が交流戦で苦しんでいる。そこをうまく戦いたい。優勝? そりゃそうだろ」
去年と同じ4連敗でパ・リーグとの戦いに突入する。振り返れば昨年は楽天、オリックス、西武に3カード連続して3タテを食らい、球団史上ワーストの13連敗を喫した。これが尾を引き、11年ぶりのBクラスでシーズンを終了した。
「なかなかうまくいかんなあ、という日々だったね。先発投手が抑えれば点を取れないし、打てば点を取られるし。こう巡りが悪いとどうしようもないなって感じだったな」
今季も、開幕してすぐに嫌な記憶がよみがえった。4月6日のヤクルト戦(神宮)から6連敗した時だ。
「トラウマじゃないけど、開幕から少しして6連敗した時は、やっぱり嫌な感じになったよ。やっぱり、あれを経験しているからね。ただ、すぐに8連勝もできた。すぐに取り戻せたことは、チームとして少し力が付いてるのかな、とは思わせてくれたね」
昨秋、今春のキャンプで振り込んだ成果は如実に出た。今年の打線ならパ・リーグ相手でも打ち負けないだろう。チーム打率は2割7分3厘。西武の2割7分9厘に次ぐ12球団2位だ。
「何が違うって、ビッグイニングが多くなったよね。負けた試合を評価するのはあれなんだけど、最後もう一歩のところまで粘ってチャンスを作ったりとか、去年とは少し違う部分だと思う。次の1点を何とか取りにいくところまで持っていけるというのは、少し改善されてるのかなと感じるよ」
既に、1イニング5点以上を8度も奪った。昨年は年間5度だから、破壊力がレベルアップされた証明になる。攻撃の中心にいるのが坂本勇であり、岡本や吉川尚の存在も大きい。
「期待していた岡本だったり、吉川尚輝がよく頑張ってくれていると思うし、現時点では評価してあげていいのかなとは思う」
岡本はいまや、クリーンアップの一人として確固たる地位を築いた。打率3割3分9厘、9本塁打、33打点。“うれしい誤算”とも言える活躍ぶりだ。
「想像以上と言ったらあれだけども、『そんなにうまくいくものかな? どうかな?』ってね。もちろん、うまくいってほしいなという期待や願望はあったけど、期待していた中ではよく頑張っているよ。今のメンバーで言ったら、不動のレギュラーだよね」
由伸監督は、今季中の4番起用について「可能性はなくはないよ」と話している。11日の中日戦(東京D)では初めて3番に座った。ここ2試合も3番で打線の中心を担っている。
「打線としてどの並びで流れが良くなるかということだけ。何番という所に今のところはこだわりはないかな」
改めて質問した。近いうちに「4番・岡本」は実現するのか―。
「数字から言ったら、もう4番打ったっておかしくないんだから。ただ、今はそういう流れじゃないんじゃないかなというのもある。岡本を4番にして流れが変わるか。そういうところをじっくり見ていきたい」
岡本が「不動のレギュラー」なら、吉川尚も「不動の2番バッター」を手に入れた。打率は2割3分も持ち前のスピードを武器に、相手をかく乱してくれる。
「守備と走塁は、打率以上にチームに貢献していると思っている。数字以上に相手は嫌な気を使ってると思うんだよね。『これを出したくないな』『尚輝の前に走者がいれば何かしてくるのかな』『足があるから嫌だな』と。そういったのは感じるよね。それだけでも大きなプラスだと思う」
二塁の守備では、何度も投手を助けている。広島・菊池に負けず劣らずのパフォーマンスはファンを魅了。長年のテーマだった二塁手がやっと、埋まった。
「守りは守備範囲も広いし、だいぶ助けてくれている。守備範囲と脚力というのが1番の持ち味だと思うし、打撃も日に日にね、よくやっているなあと思う」
岡本、吉川尚の台頭により、チームの底上げは成功した。ベテランも、阿部や長野、亀井は高い位置で状態を維持。あとは新戦力の特に、ゲレーロの復調待ちだ。現在18打席無安打だが、ちょっとしたことがきっかけで浮上してくるはず。チームが束になり、パ・リーグに雪辱したい。
「交流戦をセ・リーグのチームがなかなかうまく乗り切れないからね。ポイントにはなってくる。うまく乗り切ったチームが何となく後半戦は上位にいたりとか、ここで調子を狂わせると後半戦も苦しむことになる。何とかしたいね」
29日は、日本ハム戦(東京D)。昨年1勝2敗の相手からスタートする。まずは連敗を止め、勢いを付けたい。指揮官は「前半の西武が目立っていたから、他チームはまだ、あまり見られてないんだ」と話したが、各部門のスコアラー陣が必死に分析中。ただ、基本的な戦い方は変わらない。先発投手が試合を作り、主導権を握ることだ。
「いい投手が来たらそう簡単には打たせてくれるわけはないんでね。今のところは何とか少し失点を抑えないとね。なかなか勝ちにつながらない」
今年のペナントを左右する3週間が始まる。ビッグイニングを期待できる「BIG打線」がどこまで通用するか。“優勝”して、嫌な記憶ごと払拭したい。
【昨季のG交流戦VTR】 4連敗で交流戦に突入した巨人は楽天、オリックス、西武と3カード連続で3タテを食らい、連敗は球団史上ワーストの13となった。続く日本ハムには1勝2敗だったが、ソフトバンクに2勝1敗と勝ち越すと、ロッテには3連勝。最終戦では亀井が延長12回、涙の逆転サヨナラ3ラン。6勝12敗で交流戦の最下位を脱出し、10位タイだった。