【巨人】鍬原「遅れ取り戻す」31日デビューへ1軍合流

スポーツ報知
菅野(左)からボールの握り方のアドバイスを送られる鍬原(カメラ・中島 傑)

 31日の日本ハム戦(東京D)でプロ初登板、初先発する巨人のドラフト1位・鍬原拓也投手(22)が28日、ジャイアンツ球場で行われた1軍投手練習に参加した。プロ入り後初めて1軍メンバーとの練習に終始緊張しっぱなしだったが、菅野に突撃質問するなど強心臓ぶりも見せた。デビュー戦に向け「自分の投球をできたらなと思っています」。右肘の状態が思わしくなくリハビリ生活が続いたルーキーの物語が、ここからスタートする。

 午前10時過ぎ、鍬原の初々しい声が響き渡った。菅野、山口俊、吉川光、野上ら1軍先発陣の輪の中に、飛び込んだ。「緊張して何をしゃべろうかなと。とりあえずでかい声であいさつしようと思って」。斎藤投手総合コーチから紹介されると声を張り上げ「頑張ります!」。歓迎の拍手が温かく包み込んだ。

 ドキドキの連続だった。キャッチボールの相手は山口俊。距離が70メートルまで伸びると、緊張でワンバウンド送球になってしまった。それでもノック、投内連係では新人らしく大きな声を出しハツラツと動き「最初はだいぶ緊張したんですけど、やりやすい環境を作ってくれた。途中からやりやすいなと思いました」と照れ笑いを浮かべた。

 右肘の状態が思わしくなかったため、2月のキャンプは3軍。リハビリを経て2軍公式戦では5登板で2勝2敗、防御率2・39。26回1/3を投げて37奪三振と結果を残した。練習で気づいたこと、疑問はノートに記し、先輩らに聞いて自分の感覚に合わせた。

 舞台は1軍に移った。プロ初先発は31日の日本ハム戦(東京D)。疑問を解消するため、投内連係後、菅野に変化球の握りや投げ方を直撃取材。約5分間の講義を受け、ブルペンで約20球を投げ確認した。「投げていきながら感覚をつかめたら」

 プロ入り当時から掲げた目標は1軍定着。やっとスタートラインに立ったばかりだ。「今はわくわくしている。まだ緊張はない。去年の畠さんみたいに、シーズンの終わりに活躍ができて良かったなというふうに思えるようにできたら」。右肘の状態が思わしくなく、7月にデビューしてそこから6勝を挙げた昨年のドラ2と自身を重ねた。

 菅野、山口俊以外の先発がピリッとせず、現在チームは4連敗中。鍬原に寄せられる期待も高くなるのは当然だ。新人が初登板初先発で白星を挙げれば15年の高木勇以来11人目。「出遅れたけど、これから活躍すれば取り戻せると思う」。相手は07年大学・社会人ドラフト1巡目で巨人入りした村田。新旧ドラ1対決で、鍬原物語がいよいよ幕を開ける。(玉寄 穂波)

 ◆鍬原 拓也(くわはら・たくや)1996年3月26日、岡山県生まれ、22歳。3歳で奈良に転居、小3から本格的に野球を始める。大正中では橿原磯城(かしはらしき)シニアに所属、中学硬式日本一を決めるジャイアンツカップに出場。北陸高(福井)では甲子園出場なし。中大では1年春からリーグ戦に登板。持ち球はシンカー、カーブ、スライダー、スプリット。4月26日の2軍・ヤクルト戦で自己最速154キロ。177センチ、76キロ。右投右打。年俸1500万円。

巨人

×