【巨人】ドラ1鍬原、黒星デビューも強気7Kデビュー…大城と13年ぶり新人バッテリー

スポーツ報知
プロ初登板のマウンドで、帽子を飛ばしながら力投する鍬原(カメラ・矢口 亨)

◆日本生命セ・パ交流戦 巨人2―4日本ハム(31日・東京ドーム)

 巨人のドラフト1位ルーキー・鍬原が、日本ハム戦に先発してプロ初登板を果たした。4者連続を含む7三振を奪ったが、3回にレアードに勝ち越し2点打を浴び、5回2安打3失点で黒星デビューとなった。毎回の6四死球と制球に課題を残したものの、150キロの直球と多彩な変化球を披露。大器の片りんは見せた。この日は、ドラフト3位の大城と新人バッテリーで先発。巨人では05年の野間口―星以来となった。

 夢の舞台についに立った。鍬原の投じた1球目は直球。この日最速の150キロが計時されると、球場がどよめいた。先頭の西川は四球で歩かせたが、後続を打ち取り初回は無失点。ポンとグラブをたたき、拍手が起こった。「すごい緊張しました」

 帽子のつばの裏には「力むな」「強気」。言葉の通り、気持ちで押した。2回無死一塁。鶴岡をフォークで空振り三振に奪うと波に乗った。回をまたいで4者連続の空振り三振。1点リードの3回に3失点をしたが、失点はこの回だけ。5回87球2安打7奪三振ながら、6四死球と制球を乱しての黒星に「悔しい思いが最初にきますね」と、試合後は素直な思いを口にした。

 やっとたどりついた。プロを目指し投手一本。だが、中学3年生の時、肘を悪くし野球をやめようと思った。女手一人で育ててもらった母・佐代子さんに「野球をやめたい」と言った。その時の母の涙が忘れられなかった。「初めて泣いてる姿を見たんです。もう泣いてる姿は見たくないなって。今までたくさん迷惑をかけてきたから。僕には野球しかない。絶対にプロに行こうと」

 決して順風満帆ではなかった。北陸高(福井)は甲子園出場なし。中大では1、2年の時に抑えとしてスタートを切った。母のため、家族のため。どんな時もプロへの思いを捨てずに腐らず、投げ続けた。

 好きな言葉は「困難は自らを鍛える好機である」。大学生の時に出会った言葉だ。「すごい自分に当てはまるなと思って。結果を残せなかった時は弱気になってしまう。結果が出なくても途中。これを抑えたら自分がもっと成長できる。ピンチでも焦らなくなりました」。入団後は右肘の状態が思わしくなく、キャンプは3軍から。リハビリ期間も決して焦らず、自分のできることを一番に考え、1軍で戦える体の土台を鍛え上げた。

 白星はお預けとなったが、由伸監督は「いい球も、当然悪い球がもあった。けど、これからまた楽しみだなと思える部分がたくさんあった」と、今後に期待を寄せた。もちろん、鍬原自身も決して満足していない。

 先発として6四死球を出すことは今後の課題の一つ。1軍で投げ続けるには改善点もたくさんある。「(声援が)うれしかった。だからこそ申し訳ないなとも思う。課題を一つずつつぶしていきたい」。栄光の道は始まったばかり。巨人・鍬原としての道はここから始まる。(玉寄 穂波)

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