【巨人】今村、2年ぶり白星!村田ヘッドのカミナリから1年…神社で厄払いも

スポーツ報知
今季初登板の今村は、歯を食いしばり左腕を振って力投する(カメラ・酒井 悠一)

◆日本生命セ・パ交流戦 巨人3―1楽天(6日・東京ドーム)

 巨人は、今季初先発の今村が673日ぶりの白星を手にし、チームの連敗を3で止めて3位に浮上させた。6回を無四球で4安打無失点の好投。初回にゲレーロが左翼へ5試合ぶりの10号2ランで先制し援護した。8回無死一塁から陽が右中間二塁打で待望の追加点を挙げたものの、3回1死満塁、5回1死一、三塁の好機に無得点で、50年の2リーグ制後、チームワーストの5戦連続2ケタ残塁と課題が残った。

 やってきたことを信じて左腕を振った。今村は最後まで攻めの投球を貫いた。5回2死一、三塁。左の山下をスライダーで追い込み、高めの143キロ直球で空振り三振。「全力で投げてやろうと思いました」。この日、唯一の走者得点圏を気迫で切り抜け、16年8月2日の中日戦(ナゴヤD)以来、673日ぶりの白星を引き寄せた。

 5月27日の2軍楽天戦(G球場)で7回途中2失点。2軍降格の吉川光に代わり今季初先発した。「開き直った。昨年からメンタルトレーニングをやって、打たれたらどうしようというのはなかったです」。ペゲーロら左打者にもシュートで内角攻め。6回無四球、4安打無失点と快投した。

 1年前の悔しさは絶対に忘れない。昨年6月2日のオリックス戦(東京D)。リリーフ登板で延長11回に安達に決勝ソロを浴びチームは8連敗。翌3日の練習中、村田ヘッドコーチから呼び出された。東京Dの右翼フェンス前で「もっと考えて野球をやれ」などと5分間の説教を受け、2軍降格。8月にマツダの広島戦に先発(黒星)した以外、ファーム暮らし。1軍登板わずか3試合に終わった。

 「昨年は本当に悔しかった。がむしゃらに投げるだけじゃダメだなと。もう7年目。何かを変えないと。田口との差は何か。一番はスライダーの精度かなと」

 昨年12月に発症した右脇腹肉離れの影響でキャンプ3軍スタート。「左の先発で一番になる。そのために人より練習する」と技術面では杉内にスライダーのコツを聞きまくった。「曲がりが鋭くなった」と手応えをつかみ、150キロ近い速球に加えて投球の幅が広がったが、コンディションがまた悪化。状態は一進一退で1軍は遠い場所だった。

 心が折れかけた時「呪われているんじゃないか」と厄年表を確認した。94年3月生まれ。今年が本厄だった。わらにもすがる思いで厄払いを決意。休日に神社でおはらいを受けてリセットした。鍬原ら後輩が先に1軍昇格。「自分は何をやっているんだろう」と奮起しはい上がった。

 試合前、右翼席の前でキャッチボールを行った。1年前、村田ヘッドに猛ゲキを飛ばされた場所だった。あの時以来、1年ぶりの東京D登板。打線が初回の2点以降、8回まで追加点を奪えない重い展開の中、心・技・体の成長を証明した。

 2年前の白星は「思い出せない。長かったです」という。吉川光、野上が登録抹消という先発陣の台所事情で輝き、来週の1軍先発も決定。お立ち台で「最高です」と1勝の重みをかみしめた。(片岡 優帆)

 ◆今村 信貴(いまむら・のぶたか)1994年3月15日、大阪・四條畷市生まれ。24歳。太成学院大高から11年ドラフト2位で巨人入団。2年目の13年にドラフト制後、球団左腕最年少の19歳6か月での初勝利を挙げた。通算36登板、7勝8敗、防御率5.10。180センチ、86キロ。左投左打。年俸1300万円。

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