【巨人】鍬原9K!次こそ初勝利だ!満弾浴び「悔しい」 由伸監督「あの回だけ…」 

スポーツ報知
「力むな 強気」と書かれた帽子を飛ばしながら力投する先発の鍬原(カメラ・中島 傑)

◆日本生命セ・パ交流戦 巨人4―5楽天(7日・東京ドーム)

 巨人はドラフト1位右腕・鍬原が2度目の先発。7回5安打4失点、9奪三振と粘投した。2点をもらった直後の3回、ウィーラーに逆転満塁アーチを被弾したが、4回に阿部の右越え3号ソロ、7回には陽が1号ソロを左越えに運んで同点。勝ち負けはつかなかった。チームは、8回に上原が藤田に勝ち越しソロを浴び競り負け。4カード連続の負け越しで5位に転落した。

 一発の快音が鍬原の表情を一変させた。2点リードの3回。安打と2四球で招いた1死満塁のピンチ。ウィーラーに投じた初球のスライダーは左翼スタンドへ消え、試合を一気にひっくり返された。「(リードした)次の回で簡単に逆転を許してしまい申し訳ない。せっかく取ってもらった点を守りきれなかったのは悔しいです」と、唇をかんだ。

 初登板した5月31日の日本ハム戦(東京D)でも3回、二塁打のあとに2四死球で満塁とし、そこから3失点。5回でマウンドを降りた。この日も同様に失点したが、被弾直後の4回は3者連続三振で終えると6回まで3者凡退に。7回は味方の好守備、1死一塁では自ら併殺打にさばいた。失点は満塁弾を許した3回だけ。7回を5安打4失点、3四球、9奪三振。自己最多となる100球を投じた。

 セットポジションからの投球は課題の一つだった。由伸監督が「あの回だけがどうしたのかなと思うところ。他は良かったと思う」と指摘した通り、3回は1死で茂木の中前安打から、2者連続の四球を許し、失点につながった。鍬原は「無駄な四球だと思う。もったいない。走者を出してから気にしすぎた。セットからの技術不足な部分もあります」と反省した。

 2軍の公式戦でも走者を背負うと極端に球速が落ち、制球も乱れた。「点を取られないようにと考えすぎてしまう」と走者に気を取られすぎ、腕を振る本来の姿を見失いがちだった。そんな中、小谷2軍投手コーチ、先輩投手から積極的に攻める姿勢を学んだ。周囲の野手陣を信じ、自分は打者と対峙(たいじ)する。「弱気にならない」と、意識を少し変えて臨んだが、1軍の舞台は勝手が違った。

 だからこそ岸の投球が参考になった。ベンチから見たトップ選手との違いは四球の出し方の差。「僕は大きく外れたり高めに浮いたりという四球。岸さんの四球はきわどいところの四球だった。そこが全然違うレベルの差。勉強になりましたし、ああいう投球、投手を目指したいです」

 勉強熱心で練習で気づいたこと、試合の反省点は毎日ノートに書き込む右腕。イニング数、球数、三振数は向上し、許した安打、四球の数は減った。指揮官は「日々、経験、勉強なのかもしれないけど、また少しずつ成長してくれればいい」と、進歩に期待を込める。

 9三振のうち7個を自慢の直球で奪った。パ・リーグの打者相手に真っすぐで押せたことは一つの収穫。満塁弾を打たれたウィーラーを、次の6回の打席には全球直球で右飛に仕留めた。それでも「点を取った後の大事な回で直球で勝負できなかった。課題です」と鍬原。白星はお預けとなったが、課題を消化し、次こそ快投でチームへ勝利を呼び込む。(玉寄 穂波)

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