【巨人】阿部、特大弾で中大後輩援護「鍬原になんとか勝ちをつけてあげたかった」

◆日本生命セ・パ交流戦 巨人4―5楽天(7日・東京ドーム)
すさまじい弾道は、ルーキー右腕へのカツのようだった。阿部は打球の行方を追うこともなく、ゆっくりと走り出した。「スパっと振り抜けました。久しぶりにいい当たりでしたね」。2点を追う4回無死。岸の外角144キロを押し返すと、打球は右翼席の上、「シマダヤ」看板の下にぶつかった。
5月10日の阪神戦(東京D)以来、およそ1か月ぶりとなる3号ソロ。通算391号となる一発は、スタンドがどよめくほどの当たりだった。岸との過去の対戦は19打数8安打で、そのうち本塁打が2本。初回2死一、二塁のチャンスでは高めボール球に手を出して遊飛に倒れたが、次の打席できっちりやり返した。“岸キラー”は健在だった。
ダイヤモンドを一周してベンチに戻ると、鍬原とハイタッチした。中大の先輩後輩というだけでなく、鍬原が野球を始めたきっかけとなった人物こそ、背番号10だったという。ドラフト後には、「そういう子がプロに入ってくる時が来るなんて、俺もトシ取ったよなぁ…」と笑いながらも、「やっぱりうれしいよ。長くやってきて良かったな、と。(鍬原が投げる試合で)なんとか援護できるようにしたい」と喜びを隠さなかった。
オフ期間中にスポーツ報知の企画で対談した際には、「一緒にお立ち台!」と記した色紙をプレゼントした。鍬原の右肘の状態が思わしくなく、新人合同自主トレ中に別メニュー調整になったと聞けば、阿部自らG寮に電話をかけ、自身のかかりつけの治療院も紹介した。「俺が守ってる時に打たれたら、ツバ吐いて、(不機嫌さを)顔に出してやるよ」という辛口エールは、厳しくも温かさがあふれていた。
特大弾も及ばずチームは競り負け、阿部は「鍬原になんとか勝ちをつけてあげたかったけど…」と悔しそうだったが、まだまだチャンスはある。お立ち台でのツーショットも、近いうちに実現するだろう。(尾形 圭亮)