【巨人】“忍者”吉川尚、守備でチームを2度救う…けん制刺アシスト&逆シングル好捕

スポーツ報知
8回1死一、二塁、秋山のゴロを捕球し、ジャンピングスローでアウトにした吉川尚(手前=カメラ・矢口 亨)

◆日本生命セ・パ交流戦 巨人8―5西武(9日・東京ドーム)

 まるで忍者のようだった。吉川尚は息を潜めて、忍び寄った。1点リードの5回表2死一、二塁。田口が打席の浅村に2ボールからの3球目を投げる直前だった。絶妙のタイミングで二塁をカバーし、帰塁する二走・金子侑が懸命に伸ばした腕にタッチした。けん制死だ。

 G党の大歓声の中、辻監督はたまらずリクエストを申請したが、判定は覆らない。再び下されたアウトの判定に東京ドームが大歓声に包まれた。「サイン通りにできて良かったです」と本人は控えめに喜んだが、試合の流れを渡さなかったビッグプレーに由伸監督は「ああいうプレーが出たことで、少しずつ試合の流れも変わってきたし、終盤にこういった形になったのかなと思う」と称賛した。

 救った危機は一度ではない。8回1死一、二塁でも秋山の叩きつけたゴロに、迷わず突っ込む。ショートバウンドの難しい打球を逆シングルで好捕。ランニングスローで一塁へ送球し、確実に一つアウトにした。「しっかり勝負をかけられた。待って捕ったらセーフになっていたと思う」。打っては初回1死、右翼フェンス際へ大飛球を放った。外崎が飛びついてグラブに収め一度はアウトをコールされたが、審判団のリプレー検証で捕球より先にフェンスを直撃したとして二塁打に覆った。その後の岡本の先制適時打を呼び込んだ。

 由伸監督は吉川尚に数字以上の存在感を見いだす。広い守備範囲、チームトップクラスの俊足は言わずもがな、現状2割3分4厘にとどまっている打撃に関しても「打率以上のチームへの貢献度はある」と信頼を寄せる。足を嫌がって、相手バッテリーは出塁させないように細心の注意を払う。塁に出れば、続くクリーンアップへの配球にも影響を及ぼす。背番号0の存在は、ボディーブローのようにジワジワと効く。

 5日の楽天戦(東京D)で今季初めてベンチスタートとなったが、主将・坂本勇の助言もあって前向きに野球を勉強する時間になった。ルーキー・田中俊も好調を維持しており、若き芽による二塁争いは高いレベルで続いていく。そのまま今の、そして未来へのチームの力となる。(西村 茂展)

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