【巨人】マギー、3安打4打点 打撃フォーム修正で交流戦後、打率5割超え

◆広島8―6巨人(27日・マツダスタジアム)
高い技術を示す一撃だった。マギーは内角に来た“獲物”に襲いかかった。太い両腕を器用にたたみ、その場でクルッと回るようにしてスイングに十分な“空間”を確保した。「インサイドの球をうまく回転して打つことができた」。高く舞い上がった打球は切れそうで切れず、測ったように左翼ポール際へ舞い落ちた。
一方的な展開に待ったをかけた。4点を追う3回2死一、二塁。九里の1ストライクからの2球目、抜けてきたフォークを捉えた。1点差に迫る7号3ラン。「必ずしもいつも手を出す球べきではないかもしれない。ただ、自分のタイミングで打てていないと、こういう難しい球は打てないんだ」。状態がいいからこそ、スタンドまで運べた。6回には右前安打、7回にも右前適時打を放ち、今季6度目の猛打賞&4打点の活躍。最近5試合中4試合でマルチ安打とし、指定席の「3割」も目前に迫ってきた。
完全復調を遂げた。交流戦中は打率2割3分1厘、1本塁打、3打点の不振。特に得点圏打率は9分1厘と本来の勝負強さはなりを潜め、8日の西武戦(東京D)を最後にスタメンから外れ続けた。「打撃の全てはタイミングなんだ」。交流戦後、試合のなかった4日間で打撃フォームを修正。バットを構える両手の位置をわずかに後ろに引き、始動も早めた。だが、リーグ戦再開後は5試合で5割2分4厘、2発、9打点。差し込まれることがなくなると、円熟味あるバットコントロールは冴(さ)えを見せた。
経験豊富なベテランは、視野も広がってきた。24日のヤクルト戦(東京D)では、9回にアダメスが来日初登板。緊張から先頭打者を四球で歩かせると、すぐに歩み寄って声をかけた。アダメスは英語が分からないが、スペイン語も操るマギーの“機転”で落ち着きを取り戻し、後続を断った。「ここからは全てが大事な試合になる」。一戦必勝を誓う背番号33のバットが、苦境に光を差し込む。(西村 茂展)