【巨人】宮本コーチ、高橋優の初ブルペン絶賛「ほれちゃうね」

　巨人のドラフト１位、高橋優貴投手（２１）＝八戸学院大＝が１６日、ジャイアンツ球場で、プロ入り初のブルペン投球を披露した。捕手を立たせて２段モーションで２０球を投げた。視察した宮本投手総合コーチは、「ほれちゃうね」とベタ褒め。昨季、西武の菊池雄星（現マリナーズ）を取材し、今年から巨人担当になった小林圭太記者が、高橋のフォームを「見た」。

　緊張感が漂った。高橋は、宮本投手総合コーチ、杉内ファーム投手コーチら首脳陣が見守る中、胸を張ってブルペンに登場。投手プレートから６球、プレートの数歩後方から７球を投じ、感覚を確かめると、「お願いします！」と叫び、本格的な投球が始まった。１球目を投げると、静寂に包まれたブルペンに乾いたミットの音が響いた。

　右膝をゆっくり上下動させる２段モーションのフォームを確認しながらリズムを刻んだ。テイクバックが小さく、球の出どころが見にくいスタイルで直球を投げ込んだ。捕手を立たせて２０球。「今日は６～７割くらいの力です。まずはバランスや体重移動を意識しました」と、うなずいた。

　全力投球ではなかったが、周囲からは絶賛の声。宮本投手総合コーチは、「出ていく時の『くっ』ていう一瞬の間が、僕のハートをくぎ付け、じゃないけど、ほれちゃいましたね。（１軍キャンプに）連れていきたいとは思っています」とニヤリ。ボールを受けた木山ブルペン捕手は、「糸を引く球。構えた所に『すっ』と入ってくる印象。初速と終速の差がない」とたたえた。

　投球直後、宮本投手総合コーチに、今後も２段モーションで臨む意思を伝えた。八戸学院大時代は「実戦で禁止されていたので、投げられなかったですが、調整とかフォームの確認は常にしていた」と話すほど、自分にはしっくりきており、力強い球を投じることが出来るという。「けがをせず、キャンプに合わせるのが一番。２月１日に捕手を座らせて投げられたらいい？　そこを目標にやっていきます」と高橋。期待のドラ１左腕が、徐々にベールを脱いでいく。（小林　圭太）

　◆高橋　優貴（たかはし・ゆうき）１９９７年２月１日、茨城・ひたちなか市生まれ。２１歳。田彦小３年時に勝田スポーツ少年団で野球を始める。田彦中では友部シニアで投手としてプレー。東海大菅生高では１年夏からベンチ入り、３年夏には西東京大会準優勝も甲子園出場はなし。北東北大学リーグ・八戸学院大では通算２０勝１２敗、防御率２．０５。通算３０１奪三振はリーグ最多。１７８センチ、８２キロ。左投左打。家族は両親と弟。年俸１５００万円。

　◆雄星より「ため」長い高橋のフォーム

　高橋のフォームは、昨年見続けた菊池の２段モーションより右膝の上下の動きは小さいがゆったりとしている。いわゆる“ため”をつくる時間が長い。テイクバックが小さいため、急に球が飛び出してくる印象を持った。まだ「６～７割の力」なので断定はできないが、剛球ではなく、タイミングを外して打者を惑わす投球に長（た）けているのかもしれない。

　昨季、野球規則の「反則投球」の定義が一部改正され、２段モーションでの投球は、悪質なものを除き、事実上罰則がなくなった。ルール改正という“追い風”を受ける高橋の、雄星とはひと味違う２段モーションに注目していきたい。