新垣比菜、ツアー初優勝「夢がかなった」

スポーツ報知
初優勝した新垣比菜(中)は、同期の勝みなみ(左)、吉本ひかるから祝福され一緒に万歳で喜んだ(カメラ・生澤 英里香)

◆女子プロゴルフツアー サイバーエージェント レディス最終日(29日、静岡・グランフィールズCC)

 3打差首位から出た新人の新垣比菜(19)=ダイキン工業=が1バーディー、3ボギーで74とスコアを落としたものの、通算9アンダーで逃げ切り、ツアー初優勝を完全優勝で飾った。通算3勝の畑岡奈紗、同1勝の勝みなみ(ともに19)らの黄金世代。同じ沖縄出身の日米通算24勝の宮里藍さん(32)に憧れ、海外メジャーでの活躍を誓った。柏原明日架(22)=富士通=が8アンダーで2位。

 最終18番、80センチのパーパットを決めると、新垣は帽子に手を当てて一礼した。「まさか今年優勝できるとは。夢がかなった」。グリーン脇で待ち構えた勝、吉本ひかる(19)ら昨年プロテスト合格の同期が号泣して祝福したが、自身に涙はなかった。

 スタート前から「恐怖心があった」と体が硬くなった。第1打を池に入れた11番のボギーで首位を明け渡した。だが15番で3メートルを決めて、昨季賞金女王の鈴木愛に並ぶと「ここから諦めない気持ちを持てた」と奮い立った。17番、鈴木が6メートルから3パットで“自滅”し、栄冠をたぐり寄せた。

 沖縄の先輩である宮里藍さんの活躍をテレビで見て、9歳で本格的に競技を始めた。「ゴルフも、それ以外も(人として)尊敬できる存在」。昨年の開幕戦・ダイキンオーキッドレディスで2日間同組で回り、ショートゲームを褒められたことも財産となった。

みなみ奈紗刺激 同期でアマ時代に先にプロツアー優勝を果たした畑岡、勝の背中を追い続けた。「奈紗ちゃん、みなみちゃんは上の存在でさすが。同世代でうまい子がいる中で、自分が(17年合格組のプロ転向後)最初に優勝できてうれしい」と喜んだ。今季は出場機会が限られていたが、優勝で19年末までの出場権を手にした。次週はメジャーのワールドレディス・サロンパスカップ(5月3日開幕、茨城・茨城GC西C)が控える。「まだ優勝の実感がないけど、勝ちを積み重ねていきたい」と力を込めた。

 将来の夢は「いずれは世界で。(海外メジャーの)全米女子オープンで活躍したい」。藍さんが引退した翌年にブレイクした新星が、偉大な先輩を追う。(岩原 正幸)

 ◆恩師も認めた芯の強さ

 新垣が通ったエナジックゴルフアカデミー(沖縄・名護市)の嘉数森勇(かかず・しんゆう)校長(72)は「見た目はおとなしいが、内に秘める芯の強さがある。試合に負けた翌日の練習は目の色が違った。厳しいお父さんへの反抗心もあったのでは」と分析した。

 12年4月に開校し、新垣は中学2年からの第1期生で、講師の父・博昭さん(56)と「技術面では二人三脚でやっていた」ほか、英語の勉強も熱心だったという。通算9勝の諸見里しのぶ(31)、同4勝の比嘉真美子(24)の同郷2人も育てた嘉数校長は「目標に向かってひたむきに努力するところが似ている」と精神的な強さを共通点に挙げた。

 在校時は体作りの時間が取れなかったが、プロ入り後は下半身強化に励み、現在も沖縄滞在時は同校でトレーナーの指導も受けている。33人の在校生に「声をかけてくれて、いい影響を与えてくれる存在。アカデミーを原点と思って、どんどん活躍してほしい」とエールを送った。

 ◆両親も歓喜

 新垣の父・博昭さんと母・純子さん(50)は18番グリーン脇で歓喜の瞬間を見守った。プロ入りまでキャディーを務め、ジュニア時代には自宅からアカデミーまで往復3時間の送迎をするなど献身的に支えた父は「うれしいけど、何と言っていいのか分からない。一番強い鈴木愛さんと一緒に回ることができ感謝しています」と喜んだ。新垣も「父とはぶつかることもあったけど、優勝できたのは父のおかげ」と感謝した。

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