鈴木愛、最終日で日米韓女王直接対決「敵が目の前にいる方がいい」

スポーツ報知
13番、バンカーショットを放つ鈴木愛。首位と4打差の通算1アンダー2位タイとなった(カメラ・相川 和寛)

◆女子プロゴルフツアーメジャー第1戦 ワールドレディスサロンパスカップ第3日(5日、茨城・茨城GC西C=6715ヤード、パー72)

 2打差2位から出た昨季日本ツアー賞金女王の鈴木愛(23)=セールスフォース=は2バーディー、4ボギーの74で通算1アンダー。2位をキープしたが、首位から出て72で回った昨季韓国賞金女王イ・ジョンウン(21)とは4打差となった。この日の直接対決では完敗した鈴木はホールアウト後、真っ暗になるまで練習を続け、大逆転優勝へ強い意欲を示した。2009年米ツアー賞金女王の韓国・申ジエ(30)=スリーボンド=も2位。最終日最終組は日米韓の賞金女王対決となる。

 日本の賞金女王は、ただ者ではない。韓国の賞金女王イに5打差をつけられて迎えた16番パー4。鈴木の第1打は左の林へ。低いボールでピンを狙ったが、枝に当たり、グリーンに遠く及ばず。万事休す―。鈴木を応援するファンがため息を漏らした直後、残り43ヤードの第3打を58度のウェッジで直接、放り込み、起死回生のバーディーを奪った。

 「調子が不安定で6オーバーしてもおかしくなかったが、我慢した。そのお陰で16番はラッキーがあった」と振り返る。2オーバーで耐え、首位と4打差の2位。14、16年の日本女子プロ選手権コニカミノルタ杯を制している鈴木はツアー史上3番目の若さでメジャー3勝の可能性をぎりぎり残した。

 最終日は再び日韓女王の直接対決。さらに米賞金女王経験者の申ジエも加わる。「この(難しい)コースなら優勝のチャンスはある。ただ、最終組でなければチャンスはないと思っていた。敵が目の前にいる方がいい」と闘志をみなぎらせた。

 鈴木の真骨頂はホールアウト後だ。日が暮れるまで、いや、日が暮れてもボールと向き合った。この日、茨城県の日の入りは午後6時28分。ボールの行方が見えなくなる6時45分までスタッフが撮影する動画をチェックしながらショット練習。さらにその後、わずかな照明がある練習グリーンへ。練習場を引き揚げたのは7時1分だった。今、日本で最も強い女子プロは最も練習する女子プロでもある。

 「練習は好きではありません。でも、やらなければならない。少しは調子が良くなりました」と静かに話した。米大リーグ・マリナーズの会長付特別補佐となったイチロー外野手(44)は「野球の研究者でありたい」と語った。同じ姓を持つ鈴木愛は“ゴルフの研究者”。ドラマを起こす力を秘めている。(竹内 達朗)

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