今月末で定年の尾形充弘調教師、JRA通算800勝10頭出しで決める!

スポーツ報知
雪の降る美浦トレセンで調教を見つめる尾形充調教師

 今月末で定年引退、勇退する調教師12人が今週末にJRAで最後の出走を迎える。22日、出走馬が確定し、グラスワンダーを育てた尾形充弘調教師(70)=美浦=はJRA通算800勝にあと「1」と迫り、10頭出しの大攻勢で有終の美を飾るか。

 双眼鏡を机に置き、尾形充調教師はゆっくりと椅子に腰掛けた。「昨日、最後の追い切りが終わってね。もう少し感慨深くなるかなと思ったけれど、案外淡々としているかな」。馬に向けていた鋭い眼光から一変し、穏やかな笑みを見せた。

 名伯楽が36年の調教師生活を終える。祖父・尾形藤吉元調教師から続く3代目。日本ダービー8勝を含む重賞189勝、中央競馬歴代最多の1670勝の記録を打ち立てた「大尾形」の看板を背負ってきた。98、99年有馬記念連覇などG1で4勝を挙げたグラスワンダーを育て「みんなグラス、グラスと言うけれど、いろんな馬に思い出がある」と、JRA通算799勝を積み上げた歴代の管理馬に敬意を払った。「ニシノナースコールでエンプレス杯(09年、交流G2)を勝っているからね。それを足したら800勝。都合のいいように解釈しているよ」と笑った。

 10~12年に調教師会の会長を務めた人格者。「時代が人と社会を変えていくから、批判することはないよ」と、移りゆく競馬界を受け止めながらも、心には確固たる軸がある。「調教師はジェネラリストではなく、スペシャリストであってほしい。営業マンではなく、職人であれ。そのくらいの誇りとプライドを持ってやってもらいたい」と、後進にメッセージを送った。

 今週は中山、阪神で10頭が出走。25日は中山に家族が応援に駆け付ける。「ディナーは妻と2人でね。たまには夫婦で行くのもいいでしょう」。上品な白髪をかき分け、再び腰を上げると、双眼鏡を手に取って北馬場にまなざしを向けた。(石野 静香)

<尾形充厩舎の出走馬>

 【土曜中山】

2Rシャイニーロケット

8Rハイアーヴォルト

10Rコパノディール

10Rトータルソッカー

12Rプレゼンス

 【土曜阪神】

4Rニシノラヴコール

 【日曜中山】

7Rピアノイッチョウ

8Rニシノストーリー

 【日曜阪神】

3Rグラスコマチ

4Rフォルテメンテ

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