【中山グランドジャンプ】引退カウントダウンの林がアップトゥデイトと”ラストラン” 「絶対にオジュウチョウサンを負かしたい」

スポーツ報知
障害1950回騎乗時のリヴゴーシュのゼッケンの前で撮影に応じた林

◆第20回中山グランドジャンプ・J・G1(4月14日・障直芝4250メートル、中山競馬場)

 第20回中山グランドジャンプ・J・G1が14日、中山競馬場で行われる。昨年の中山大障害で大激戦を演じたオジュウチョウサン、アップトゥデイトが6度目の対決。アップトゥデイトの主戦である林満明騎手(51)=栗東・フリー=は、あと7戦となる障害2000回騎乗を達成したら引退を表明しており、今回が最後のコンビとなることが濃厚だ。絶対王者に挑む大ベテランに意気込みを聞いた。

 ―中山グランドジャンプにアップトゥデイトで挑みます。昨年の中山大障害はオジュウチョウサンと大接戦の末、半馬身差の2着でした。

 「力を出し切った。逃げてペースを落とさないで、後ろの馬に脚を使わせるような感じ。最後に差されたが、あれで負けたら仕方がない。周囲から『今年のベストレース』と言われたけど、僕もそう思う。勝てなかったけどお客さんには喜んでもらえたのでは」

 ―コンビを組み続けてきたアップトゥデイトの良さについて。

 「飛越が上手で、丈夫でスタミナがある。(2014年夏に)障害練習を始めて2週間目ぐらいから、いいなと思った。飛越がうまいし、背中の使い方がいい。最初は物見をしていたけど、それが逆にいい方に出た。走り抜ける飛越ではなく、しっかり見て飛越をするようになった。僕が好きな障害馬は平地でダートの1800メートル、1600メートルぐらいを走っていた馬。ダートを走る力があるし、後肢に力もある。アップ自体もそうだった。逆に芝の長いところを走っていた馬は障害に向く馬が少ないもんね」

 ―デビュー33年目で重賞14勝の林騎手。G1の2勝(15年中山グランドジャンプ、同年中山大障害)はいずれもアップトゥデイトで挙げたものです。

 「デビューからG1を勝つまで30年かかった。感動というより、実感がわかなかった。同じ芦毛だったので『オレのゴールドシップ』と呼んでいたこともあった。今だと『オレのキタサンブラック』と呼びたいけど、キタサンブラックは勝ち続けているオジュウチョウサンの方になるのかな」

 ―オジュウチョウサンの話題が出ました。対戦成績は1勝4敗。ライバルのすごさについて。

 「オジュウチョウサンは最後までしっかりと伸びる。去年の大障害では時計勝負で勝とうと思ったけど、それでも勝てなかった。石神(深一)騎手が競馬を教えて、きっちり好位で競馬をできるようになった。それが強さになっていると思う」

 ―始動戦の阪神スプリングジャンプはハナを切って8馬身差の圧勝でした。

 「順当勝ち。後ろのことを気にしないで逃げて強いレースだった。次の目標に向けていい競馬ができた。まだまだ余裕があって危なげなかった。その後の調整もうまくいっている」

 ―引退を考えるようになったきっかけは。

 「昔から乗せてもらってきた調教師さんがどんどん引退して乗り数が減ってきた。時代の流れかな。年齢的なものもあるけどね。それでも先行一本でやってきた。競馬専門誌によれば落馬は106回。あちこちケガをしている。一番大きいのは2016年2月の落馬(診断は第5胸椎圧迫骨折)で、あのときはアップに乗れなかった。あれが一番、後々まで響いた。今でもあおむけで長時間寝ていられない」

 ―現在、障害は1993回の騎乗で引退まで残り7戦。栗東トレセンの障害ジョッキールームにも「M7」と自ら貼り紙をしています。今までのジョッキー人生を振り返って。

 「障害レースは何回乗っても怖いよ。30年以上乗ってきても怖い。ゲートを切ってしまえばどうってことないけど、それまでが怖い。でも、障害の場合はすぐにクビになったりせず、ずっと自分の馬に乗せてもらえる。それで続けられたのかな。平地は80勝で、100勝したかった。(障害200勝まであと6勝だが)それは無理無理。東京の重賞(6月23日、東京ジャンプS)で締められたらと思うが、今回乗ってあと6鞍。その乗り鞍を一生懸命に探さないと」

 ―それでは現役生活ラストとなりそうなG1に挑む意気込みを。

 「(アップトゥデイトと)コンビを組むのは多分最後。寂しい部分もあるけど、そのぶん全力で、悔いのないように乗るだけ。今回もやっぱり見せる競馬、お客さんが喜ぶような競馬を。絶対にオジュウチョウサンを負かしたい。そのチャンスだと思うけどね」

(聞き手・内尾 篤嗣)

 ◆林 満明(はやし・みつあき)1966年10月31日、滋賀県生まれ。51歳。栗東・吉田三郎厩舎から86年3月に騎手デビュー。通算274勝。障害レースは194勝で歴代1位の1993回騎乗。アップトゥデイトの中山大障害、中山GJ(いずれも15年)のG1・2勝を含む重賞14勝(全て障害)。156センチ、53キロ。血液型O。

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