【北海道出張記者のなまらいい話】夫は競馬×妻は競輪 異業種で「競い合えたら」

スポーツ報知
函館で互いの健闘を誓った三尾助手(右)と妻の那央子さん

 北海道出張中の記者による夏競馬限定のコラム「なまらいい話」がスタートします。初回は、7月の函館で競輪選手としてデビューする妻を持つ相沢厩舎の三尾一之助手(42)にズームインしました。(随時掲載)

 「G1より緊張するな」。相沢厩舎の三尾一之助手は、ドキドキしながらデビューの日を待っている。担当する愛馬ではなく、愛する妻のデビュー戦。隣で三尾那央子選手(30)が笑った。「またおなか壊すとかやめてね」と妻が言えば、夫も「競輪学校の合格発表の日に俺の方が、おなか壊したからな」と照れ笑い。来たる7月3日。妻が函館競輪場で初陣を迎える。

 共に函館出身。出会いは4年前の夏だった。三尾助手行きつけのビールバーで、アルバイトとして働いていた那央子さんと意気投合。美浦で同居を始め、15年に結婚した。那央子さんは「『何か趣味を持てば』と旦那に言われて。その時にはまっていたのが、ロードバイクの漫画『弱虫ペダル』でした」。軽い気持ちで始めたロードバイク。美浦トレセンや霞ケ浦の周辺をこいで回った。

 競輪好きの夫に勧められて参加したのが「ホワイトガールズプロジェクト」。初の北海道所属の女子選手育成を目指し、16年に函館競輪が発足させた組織だ。学生時代は帰宅部で、スポーツ経験は「ドッジボールとバドミントンくらい」という妻だが、難関の競輪学校に合格し、プロとなった。「3年前までは想像できなかった」と三尾助手。夫は競馬×妻は競輪という異色の夫婦が誕生した。

 妻は競輪選手として地元で新たな人生をスタートさせる。「離れて暮らしたら、やっぱり函館が好きだなという気持ちが芽生えた。水がおいしい。お風呂にためたお湯のにおいが全然違います」と那央子さんは故郷の魅力を再認識する。一方の夫は19年連続の函館出張。競馬場と競輪場の距離はわずか1・9キロ。同じ空気を吸うと、愛馬の世話に自然と力が入る。「異業種でも競い合えたらいいですね。またG1に出るような馬を育てたい。とにかくデビュー戦は落車なく。競馬と同じで、まずは無事にという思いです」(石野 静香)

 ◆三尾 一之(みお・かずゆき)1976年6月20日、北海道函館市生まれ。42歳。上磯高卒。茨城・栗山牧場で2年半働く。98年に競馬学校厩務員課程を卒業。美浦・稲葉隆一厩舎を経て、99年2月から相沢厩舎に所属。調教助手を務める。05年スプリングS、10年福島記念を勝ったダンスインザモアなどを担当。趣味は自転車で、アマチュアチームに所属している。168センチ、66キロ。血液型B。

 ◆三尾 那央子(みお・なおこ)1987年9月25日、北海道函館市生まれ。30歳。函館東高(現市立函館高)卒。北海道教育大函館校中退。ガールズケイリンの北海道所属選手養成を目的とした「ホワイトガールズプロジェクト」の1期生。18年3月に競輪学校を卒業し、7月3日に函館競輪場でプロデビューする。趣味はディズニー映画を見ることと漫画。167・1センチ、65・8キロ。血液型A。

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