【こちら日高支局です・古谷剛彦】今年ほどあらゆるカテゴリーで3歳馬が活躍したのは驚異的

スポーツ報知

 有馬記念は、出走馬で唯一の3歳馬だったブラストワンピースが勝利。アーモンドアイ(ジャパンC)、ステルヴィオ(マイルCS)、そしてルヴァンスレーヴ(チャンピオンズC)に次ぐ、3歳馬の古馬G1制覇となった。

 夏競馬が始まると、世代間の差を論じることが多くなる。馬産地で取材をしていると、海外のミックスセールを筆頭に、驚くような名牝が輸入され、国内トップサイアーとの配合で素晴らしい幼駒が生まれる。産駒のデキが良いのは、繁殖牝馬の管理にも好影響がある。そして、中期、後期の育成技術も向上している。あらゆる状況が重なり、1つ世代が若くなれば、レベルアップが見込めるのは当然であり、斤量差が生まれる点から3歳馬が有利なのも明らかだ。もちろん、各世代のトップホースも、キタサンブラックのように、古馬になってさらなる成長を見せる馬もいる。だからこそ、世代間の話題が起き、競馬の楽しみ方の1つでもある。ただ、今年ほど3歳馬が、あらゆるカテゴリーで活躍したのは、驚異的であるのも確かだ。

 24日は、名古屋グランプリを観戦した。ここでも、3歳馬のチュウワウィザードが差し切った。3歳馬は毎年、ダービーの時期まで2勝馬は、ダートの番組が少ないことから、出るレースが限られる。そのレースは、3歳ダート界のトップホースが揃い、春にオープン特別を勝ち上がった馬は、ほぼ出世は確実なものとする。そこで勝てなかった馬たちも、夏競馬になって格付けされ、ようやくダート番組が充実し、得意な距離で勝ち上がり、好走を繰り返す例は少なくない。

 現3歳世代で最もインパクトが強かったのは、アーモンドアイに代表されるように、ロードカナロア産駒のすさまじい活躍ぶりだ。2歳世代と合わせ、たった2世代の産駒数で、リーディングサイアー総合7位につけた。ディープインパクトの時を思い出させる驚異的な数字を残している。2世代目となる2歳馬たちも、ケイデンスコールとファンタジストが重賞を制し、ホープフルSではサートゥルナーリアがスタンバイしている。さらなる賞金加算、そしてG1馬を輩出する可能性も出てきた。

 ロードカナロア自身は、マイル以下で素晴らしい成績を収めてきたが、産駒は母系の良さを生かし、気性は様々。あらゆるカテゴリーで活躍馬を送り出している。来年も159頭が血統登録され、ハイクラスの産駒が目立つだけに、さらにリーディング順位を上げてくることは間違いない。

 ディープインパクト、キングカメハメハの2大種牡馬が、それぞれに優秀な後継種牡馬を送り出し、自らのライバルにもなってきたことも、日本の競馬の違った一面だ。有馬記念は終わっても、ホープフルSと東京大賞典はもちろん、地方競馬は大みそかまで開催がある。競馬に休みはない。今年もご愛読、ありがとうございました。良いお年をお迎え下さい。(競馬ライター)

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