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わずか2時間で感じたあふれる競馬愛 瀬戸口元調教師の思い出

2017年11月11日10時0分  スポーツ報知
  • 新冠のオグリキャップ像の前に立つ瀬戸口元調教師

 穏やかな語り口、はにかむような微笑。思い出すのは温厚な姿ばかり。

 瀬戸口元調教師が9日、急性白血病のため、亡くなった。突然の訃報に言葉を失った。現役調教師の時代を知らない記者は2時間だけ、G1で15勝を挙げた名伯楽と接点があった。昨年1月。オグリキャップの連載取材で、瀬戸口元調教師のもとを訪ねた。

 当時、記者は競馬担当6年目。事前に実績を調べてみると、輝かしいものだった。騎手として桜花賞(1963年ミスマサコ)を制し、引退後は調教師としてオグリキャップのほか、皐月賞と日本ダービーで牡馬クラシック2冠を制したネオユニヴァースとメイショウサムソン、牝馬でもラインクラフトなどのG1馬を輩出したJRA通算864勝を挙げた。ただ先輩記者から「現役時代は決して取材をしやすいタイプではなかった」と聞いていたこともあって正直、緊張していた。

 あいさつを終えて、取材を始めると、印象は真逆だった。すべての質問に優しく、丁寧に答えてくれた。オグリキャップは競馬史に残る名馬ではあったが、ターフ外の思い出したくない、答えにくいこと出来事があったという。ファンから脅迫状が届いたこともそのひとつだった。

 「ファンあってこそだけど、あまりいい気持ちはしなかったです」

 寂しそうに、それでも正直に明かしてくれた。

 調教師を引退して、角が取れた部分もあっただろう。現役調教師として「語らない責任」と、元調教師としての「語る責任」。立つ位置が変わっただけで、どちらも競馬への真摯(しんし)な気持ちの表れだったのではないかと感じた。

 ひと通りの取材を終えた後、現役時代から懇意にしている福永祐一騎手の活躍など雑談に花が咲いた。

 「この間、たまたま買った馬券が当たっててね。買ったことを忘れてたから(インターネット投票の)残高が増えていて驚いたんだよ」

 一線を退き、違う形でも競馬を楽しんでいたようだ。時間にして、わずか2時間ほど。それでもあふれる競馬愛に触れられた出会いに今でも感謝している。(記者コラム・宮崎 尚行)

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