【クイーンエリザベス2世C】アンソニー・クルーズ調教師3頭出しで上位独占だ

スポーツ報知
3頭出しで3年ぶりの勝利を目指すAクルーズ調教師

 JRA海外馬券発売の第2弾、第44回クイーンエリザベス2世C・G1(芝2000メートル)は29日、香港のシャティン競馬場で行われる。日本馬最大のライバルと目されているタイムワープなど3頭を送り込んできたアンソニー・クルーズ調教師(61)に馬の状態や意気込みを聞いた。(聞き手・甘粕 代三)

 ―3頭出しはブレイジングスピードが優勝した15年以来になります。まずは大将格のタイムワープについて聞かせてください。

 「スピードがあるし、2000メートルはピッタリ。香港Cはあのペース(1200メートル通過が1分15秒76のスロー)で逃げられれば、迫れる馬はいないよ。そして2月の香港ゴールドCでは2000メートルで2分の壁(1分59秒9)を香港競馬史上初めて破ったんだからね」

 ―ところが、前走のチェアマンズトロフィーは最下位の10着に敗れました。

 「クイーンエリザベス2世Cまで2か月空けられないから、距離不適を承知でマイル戦を使ったんだよ。おまけに競りかけられて空前のハイペース。あれではどんな名馬でも残りようがない」

 ―本番に向けての状態はどうでしょうか。

 「22日の追い切りは理想的。2000メートルに戻ってハナを切れれば2走前と同じか、それ以上の競馬はできる」

 ―クルーズ厩舎のイチ推しはやっぱりタイムワープってことですか。

 「いや、イチ推しはパキスタンスターだ」

 ―去年のレースで2着に好走した後は、4走前に出走停止処分を受けるなど精細を欠いています。

 「気性に問題のある馬だけに復活に向けて調教、ゲート試験を重ねてきた。前走のチェアマンズトロフィー(4着)は自信の仕上げだったが、指示通りの騎乗をしてくれなかったのでモレイラを降ろした。デソウサはこれまでパキスタンスターに乗った騎手の中では最も腕っぷしが強く、気性の悪いこの馬に合う。去年2着に持ってきた実績もある。QE2世Cのためにわざわざ来てもらうことにしたんだ」

 ―ということはタイムが自分のペースで逃げ、後ろにはパキスタンが控える形になるでしょうか。

 「そうさ」

 ―その2頭の間にはゴールドマウントがいる。

 「この馬だって格下と思ってバカにしない方がいいよ」

 ―アルアイン、ダンビュライトの日本馬をどう見ていますか。

 「強いとは思うけど、タイムワープに競りかけては来られまい。競りかければ潰れる。控えても後ろにはパキスタンが脚をためている。上位独占を狙っているので、大いに期待してほしい」

 ◆アンソニー・クルーズ(Anthony・Cruz) 1956年12月24日、マカオ生まれ。61歳。騎手として6回、調教師としても2回のリーディングに輝いた香港のレジェンド。デビューから17連勝を飾りスプリンターズS(05年)も制覇したサイレントウィットネスを管理。06年安田記念Vのブリッシュラックも手掛けた。

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