•  スポーツ報知のWebサイト限定コラムがスタートしました。最前線で取材する記者が、紙面では書き切れなかった裏話や、今話題となっている旬な出来事を深く掘り下げてお届けします。皆さんを「ほーっ!」とうならせるようなコラムを目指して日々配信しますので、どうぞお楽しみください。

ロシアW杯も!? FW久保建英の成長を支えるもの

2017年4月20日16時26分  スポーツ報知
  • ディフェンダーの執拗なマークをすり抜ける久保建英

 1年前には想像もつかなかった。昨春、ひょんなことからFW久保建英(15)=F東京U―18=の関係者と話す機会があった。こんなことを言っていた。

 「彼は本気でW杯を目指していますよ」

 W杯? ああ…世代的に17年にインドで行われるU―17W杯のことか。

 「違いますよ」

 もしや、2世代の飛び級になるし、かなり厳しいかもしれないけど、同じく17年に韓国で行われるU―20W杯を狙っているのか。

 「違います。(18年の)ロシアW杯のことですよ」

 言葉に詰まった。「それは無理でしょう」と言いかけたが、関係者は大まじめ。「そ…それはすごいですね」と話を合わせるのが精いっぱいだった。

 あれから1年が経った。中学3年生だった昨年は、高校年代のU―18でプレーし、夏にはクラブユース選手権で得点王になる活躍でチームを優勝に導いた。秋にはJ3長野戦でプロデビューし、今春には同C大阪U―23戦で15歳10か月11日のJリーグ最年少ゴール。そして、来月は“期待選手枠”ではなく、チームの中核としてU―20W杯に出ようとしている。

 成長のスピードもすごいが、何より驚かされるのは、どのカテゴリーのチームでも久保が中心的な存在になるという事実だ。ドリブル、シュート、FK。どれを取っても一級品だが、最大の武器は“サッカー脳”だと思う。

 3月に久保がU―20日本代表の一員として、F東京(J3に出場するU―23のメンバーが中心)と練習試合をした際、後半から出場して1得点を決めた。普段J3でチームメートとしてプレーするF東京DF小川諒也(20)が話していた。

 「(久保)建英が1番怖かったし、最後までつかまえきれなかった。もちろん上手いのは十二分に分かっていたけど、対戦してみて、よりすごさが分かった」。

 DFと中盤の間の相手が飛び込めないスペースにポジションを取るから、味方のボールを引き出すことができる。相手に囲まれても奪われない技術があるから可能な芸当だが、プレッシャーの少ない所にポジションを取るのではなく、相手の1番怖い所を見つける“嗅覚”に優れている。だから、どのカテゴリーでも結果を残せる。

 久保がバルセロナの下部組織に入団する前、小学4年生の時に川崎U―12の監督として指導していた高崎康嗣さん(J3盛岡ヘッドコーチ)は「日本にいた時からサッカー脳はすごかったけど、向こうでさらに磨かれたと思う」と明かす。バルセロナに渡ってから半年後、オフの時に一時帰国した時のこと。川崎U―12の練習に参加した時に異変に気づいた。

 「90分やった時にコーチに『これ以上無理です。動けません』って自分からやめた。日本にいた時はずっとボールを蹴り続けていたタケ(久保)が。向こうのトレーニングは90分が基本。体だけだったら90分では疲れないけど、頭もフルで使っているから90分で集中が切れる。それぐらい90分の中で出し切っているということだし、体も頭もフルで使っている証拠だよね」

 このサッカー脳があるからこそ、どんなに上のカテゴリーに行っても、すぐに適応し、すぐに解決策を導くことができる。

 まだ15歳。期待をかけ過ぎるのは良くないことは百も承知している。それでも、1年前には想像できなかった「ロシアW杯出場」という夢のまた夢でさえ、今や不可能ではないと思える。高校1年生になった今年は、どんな姿で想像を超えてくれるのか。「思いもよらない1年」を楽しみにしたい。(記者コラム・井上 信太郎)

  • 楽天SocialNewsに投稿!
コラム
今日のスポーツ報知(東京版)
報知ブログ(最新更新分)一覧へ