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サッカー記者1年生が目を見張った日本代表の“口げんか”

2017年6月15日16時0分  スポーツ報知
  • ボール回しで軽快に動く川島、乾、酒井宏ら

 日本代表の海外組合宿が、5月28日~6月4日に行われた。入社後、半年間の修行を経て念願のサッカー班に配属されてから半年余り。本格的に代表チームを取材するのは初めてだった。2日目の紅白戦で、興味深い“言い争い”があった。

 4対4のミニゲーム。DF酒井宏のシュートがゴールラインを割ったかに見えた。ハリルホジッチ監督の判定はノーゴール。酒井宏、DF酒井高は血相を変え、ゴールを主張した。FW岡崎は「見てたよな?」と言わんばかりに相手選手に詰め寄った。そんな中、相手チームが素早くリスタート。FW宇佐美が無人のゴールに流し込んだ。怒りの収まらない岡崎らの矛先は、DF吉田に促されボールを供給し、試合を再開させた手倉森コーチにまで及んだ。

 入社前、私はサッカーの指導者だった。4年間で幼児、小学生約700人を教えた。さらに1年間、海外を転々としながら約30か国で子供とボールを蹴った。サッカー先進国の子供は、喜怒哀楽の全てをサッカーにぶつける。技術力は日本と同等か、日本の方が少し上かもしれない。しかし、負けん気の強さは日本よりも格段に上だ。

 アルゼンチンの首都ブエノスアイレスでは試合中、ある判定を巡り、けんかとなった。仲裁するレベルの語学力がない私は「じゃんけんしよう」と言った。日本で言う「けんか両成敗」。これにて一件落着!のつもりだったが、じゃんけんに負けた子供が勝った子供の顔面にパンチを見舞ってしまった。もちろん、ほめられることではないが、その負けん気に驚いた。欧州、南米には日本の練習環境では味わえないサバイバル感があった。これが世界との差か…と感じたものだ。

 冒頭の紅白戦は、国内組はもちろん、海外組も本田や香川らが合流前で、レクリエーションの要素が強かったミニゲームだ。罰ゲームもない。それでも、欧州で戦う選手は喜怒哀楽を隠さない。怒り、喜ぶ、この本気度が日常だ。Jリーグの助っ人が来日後、練習の緩い雰囲気に苦言を呈することがあるのもうなずける。

 W杯アジア最終予選のイラク戦は1対1のドローに終わった。勝ち切れなかった要因を挙げればキリがない。しかし、フラフラになりながら不慣れなトップ下で奮闘したFW原口、けいれんする足で最後まで走り抜いたFW久保らのプレーには恐れ入った。アジアを勝ち抜く“世界基準”のメンタルを身に着けている選手は多い。残り2試合となったW杯予選。決して悲観する必要はないと感じた。(記者コラム・岡島 智哉)

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