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いつ辞めても後悔する…Jリーガーにみた引き際のこだわり

2017年12月12日16時0分  スポーツ報知
  • 12月2日の仙台戦後、サポーターにあいさつする甲府の石原
  • 11月19日の試合後、母親から花束でねぎらわれた金沢MFの大槻優平

 2017年のJリーグが終わり、今年も現役引退、退団といった寂しさを伴う季節がやってきた。

 今季から担当した甲府では、17年間ヴァンフォーレ一筋だったMF石原克哉(39)が引退した。01年に練習生から入団し、J1昇格、J2降格など、クラブとともに歩んできたサッカー人生。引退理由でもある両膝の痛みで、「ここ1、2年は練習もろくにできなかった」と振り返ったが、それでも最終節・12月2日の仙台戦へ向けた練習で、フルメニューをこなした姿は印象的だった。

 クラブは目標のJ1残留を果たせず、来季J2を戦うことになったが、残留争いの中でも、石原の存在は大きかった。今季最後のアウェーとなった11月26日の大宮戦では、ベンチ外メンバーも敵地に乗り込んだ。「みんなで戦いたい。(ベンチ外の)自分たちが行くことで力が出るかは分からないけれど、何かがしたい」と石原が吉田達磨監督(43)に申し出た。試合に出られなくてもチームのために行動する姿に、ベンチ入りメンバーたちも勇気をもらっていた。

 シーズン終了後、チームの自主トレに参加した石原は、「僕はよく言うんですけれど、いつ辞めても後悔すると思うんですよね」と話した。できることならまだ現役を続けたい―。そんな思いが伝わってきた。

 今後については、具体的なことは決まっていないが、「もっとヴァンフォーレというクラブを知って、Jリーグ全体、スポーツ界全体の流れというか現状を知って、より良いクラブにしていきたい。今まではサッカーさえしていれば良かったですけれど、外から何かできるか。自分にとっても新しい発見もあると思うから、それを探りながら考えていきたいです」とクラブのために活動していくつもりだ。

 昨季まで担当していたJ2金沢でも先日、学生時代に精巣がんなどを克服したMF大槻優平が、スパイクを脱いだ。まだ29歳だが、「サッカーを続けられると思っていなかった」という時を乗り越えてきただけに、「やりきった」という気持ちも強いという。

 金沢がJFLだった12年から所属していたが、チームがJ3優勝とJ2昇格を達成した14年は、両足の疲労骨折で、ほぼ1年をリハビリに費やした。度重なる逆境にも負けることはなかったが、約1年前の16年オフ、「引退も考えている」という話を聞いた。「J2ではやれても、J1では…。それだったら、子どもを教えるのも好きだし…」。サッカー選手としての自らの限界も感じると同時に、第2の人生のことも考えていたようだった。

 このときは、FW山崎雅人(36)から、「まだやれる」と説得され、現役を続行。この1年、相当な覚悟を持って過ごしてきたはずだ。最終節・11月19日の水戸戦では、決勝ゴールを決める有終の美を飾った。今後は指導者の道を目指すという。「挫折の方が多いけれど、そこからはい上がるということを教えたい」。説得力のある言葉だった。

 理由や時期は選手それぞれだが、プロである以上、引退は必ず訪れる。記者が小5のときに華々しく開幕したJリーグも来季は26年目。憧れの存在だったJリーガーは、ほとんどが年下となり、同年代の現役も少なくなってきた。寂しさを感じながらも、一人でも多く、納得のいく“辞め方”ができることを願う。(記者コラム・古川 浩司)

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