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俊輔が抜けたマリノスが「降格候補」の下馬評を覆した3つの理由

2018年1月4日16時0分  スポーツ報知
  • 気迫のプレーでチームを引っ張る横浜M・中沢

 1年前、様々な媒体や評論家が、マリノスを「降格候補」と書き立てていた。「伝統クラブの凋落」「チーム崩壊」…。MF中村俊輔ら主力の移籍や、モンバエルツ監督続投に対する選手の反発、外国人選手の素行不良などが伝えられていた時期である。

 私は昨年1月からマリノスを担当した。練習風景を眺めながら「あれ、これはけっこう強いんじゃないか」と思った。開幕前の2月、「俊輔が抜けてもマリノスが強い4つの理由」というコラムを書いた。反響は大いにあった。大炎上したのである。世間のマリノスに対するイメージはここまで下がっているのかと愕然とした。

 ある選手は「1年前はもう…メチャクチャだったから」と苦笑いで振り返る。「チーム崩壊」に関しては事実だった。それでも今季、マリノスはよみがえった。リーグ戦は5位。天皇杯では決勝に進出した。「ACL出場」「カップ戦優勝」という目標は果たせなかったが、下馬評を覆すだけの成績はおさめた。その理由に、以下の3つを挙げたい。

 ▽埋まった溝

 ゴタゴタの主要因は首脳陣・幹部と選手の間でのコミュニケーション不足だった。そこには言語の壁もあった。今季は強化部に語学堪能な小倉勉氏を招聘(しょうへい)。社長に就任した古川宏一郎氏も英語ペラペラだ。古川社長、モンバエルツ監督、アイザック・ドルSDの“トップ会談”は通訳なしの英語で行われていた。また、夏に加入した元U―18ロシア代表MFイッペイ・シノヅカは持ち前の明るさと語学力で外国人を含む全選手とコミュニケーションをとることが可能。重要な橋渡し役となっていた。

 ▽中堅勢の奮起

 中心選手数人がチームを去ったが、DF栗原勇蔵、MF中町公祐、FW伊藤翔ら、他のJ1クラブからオファーを断り、残留を決意した選手も多くいた。天皇杯決勝で先発した11人中、新加入組は3人だけ。先行き不透明だったクラブに残った選手たちの活躍が光った。今季開始時の平均年齢は24・9歳と若返り、練習の強度も増した。若手の底上げも顕著だった。しかし、勝負所で頼りになったのはいつも中堅勢だった。

 ▽中沢佑二

 4年連続のフルタイム出場という数字では語りきれない貢献度がある。他クラブの担当記者から「中沢、代表入れるでしょ」という声を聞いたのは1度や2度ではない。5度や6度でもない。10度はあった。

 練習でもっとも大きな声を出しているのは、2月に40歳を迎えるこの鉄人だ。今季の契約更改時にはクラブに「ACL出場ではなく、チャンピオンを目指したい」と直訴。クラブ幹部はそれに応えるように、「来季はエベレスト。頂点を目指す」と報道陣の前で宣言した。

 中沢は天皇杯の決勝後、「今季はみんな頑張っていたし一体感もある良いチームだった。それでも優勝できなかったのは、どこかに足りない部分があったから」と語った。新シーズンは前豪州代表監督のアンジェ・ポステコグルー氏を迎え入れ、2004年以来のリーグ優勝を目指す。

 中沢はこの日、こんなことも言っていた。「下馬評が低ければ低いほど、チームは勢いに乗って上位にいける。特にマリノスって若いチームなんで。あまり今年の予想順位で4位とか5位とかにしないで欲しいですね。10位くらいにしてください。そこから這い上がりますから」。

 1年間、番記者を務めさせて頂いた感謝の気持ちと期待の思いを込めて…2018年のマリノスは【10位】と予想したい。そして、今季同様、いや、今季以上の“這い上がり”を期待したい。

(記者コラム・岡島 智哉)

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