酒井高徳“3度目の正直”で脱3番手だ「脅かすSBは佑都くんと宏樹」
ロシアW杯(6月)に挑むサッカー日本代表企画「アレ・ル・ニッポン!(いくぞ ニッポン!)」に、“3度目の正直”での出場を目指すDF酒井高徳(26)=ハンブルガーSV=が登場。スポーツ報知のインタビューに応じ、10年南アフリカ大会はバックアップメンバー、14年ブラジル大会は出番なし。現時点ではDF長友佑都(31)=インテル=、酒井宏樹(27)=マルセイユ=と両サイドバックのサブという“3番手”だが、その葛藤と脱却への決意を赤裸々に語った。(聞き手・恩田 諭)
―シーズンの半分を終えて、チームの出来は。
「自分たちが思っていた以上に低い順位(18チーム中17位)だった。昨季はチームとしてのベース、自分たちの力量、可能性、ポテンシャルが見えたので」
―個人パフォーマンスは。
「あまり安定したプレーができなかった。前半戦の最初の方は昨シーズンの(ギリギリで残留した)燃焼感を感じたところもあった」
―本職ではないボランチ出場が目立った。サイドバック(SB)がやりたいという葛藤はあったか。
「ポジションを失った時に葛藤が強くなる。前半戦の最後みたいにボランチでいいプレーができなかった時、SBに戻れるかっていったら、その間に(定位置を)確立した選手がいる。どうしても選択肢が減っていく…。一度ポジションを失ったら、戻るところがないのは厳しいなと改めて思った」
―今年はW杯イヤー。10年南アフリカ大会はバックアップメンバー。14年ブラジル大会はメンバー入りも出番なし。今度こその思いは?
「僕の身近にいる人、応援してくれる人の期待に応えたい。今回(試合に)出なかったら、何のために何年もサッカー選手としてやってきたのか。どんな立場にいようとも気を緩めず、自分がピッチに立てる権利を取得するまで死に物狂いでやっていきたい」
―ライバルは?
「自分のポジションを脅かすSBは(長友)佑都くんと(酒井)宏樹以外にはいないと思っている。(2人のサブという)3番手で、いつまでもそのポジションだという甘えみたいなのが心の中にあるのかなとも思う」
―3番手からいかに抜け出すか。
「自分自身がパフォーマンスを上げて脱出するのか。あるいは誰かに蹴落とされて、そこを取り返しにいくのか。選手は落ちた後が一番成長しやすいタイミングだと思う。代表で自分のポジションに刺激があるのは大事なこと」
―バックアップメンバーで帯同した初めてのW杯から7年半がたつ。
「(当時は)一日一日の練習で、ミスしちゃいけないっていうプレッシャーを感じた。残念ながら、そういった緊張感をここ数年の日本代表では感じられていない。(本田)圭佑くん、(川島)永嗣さん、ハセ(長谷部)さんとも、あの時の緊張感は今の代表には感じないと話したこともある。みんな感じている部分だった。でもその反面、誰もがやれる雰囲気もいい面に転がっている。それが若手が伸び伸びとプレーしている要因の一つだと思う」
―ハリルホジッチ監督はどんな人?
「結果主義で、チームが勝つことをすごく大事にする人。勝ったら同じメンバーでいく。いい内容だったけど勝てなかった。でも、良かったから同じメンバーでいく、そういうタイプの人だと思う」
―ロシア大会は1次リーグを突破したい。
「W杯に2回帯同して、1次リーグを突破する、あるいは1勝するっていう喜びがハッキリみられた。自分がそれを引っ張りたい思いはある」
―18年のテーマは?
「挑戦になるのかな。今の自分の立場を考えたら、チームでも居場所を確立しないといけない。代表で出るために何かたけたところを見せなきゃいけないという意味でも挑戦だと思うし、W杯に出場するっていうのも挑戦。もう若いといえる年でもない。何事もアタックしていかないと、待っているだけではダメ。前進していく気持ちを常に押し出してやっていきたい」
◆酒井 高徳(さかい・ごうとく)1991年3月14日、米ニューヨーク生まれ。26歳。日本人の父とドイツ人の母の間に生まれ、2歳から新潟・三条市で育つ。10歳でサッカーを始め、新潟ユースを経て2009年にトップ昇格。11年12月にシュツットガルトへ移籍。12年ロンドン五輪に出場。15年夏にハンブルガーSVへ加入した。日本代表36試合0得点。176センチ、74キロ。家族は妻と2女。