日本代表、先発8人変更も攻撃機能せず 守備も崩されウクライナと点差以上の力の差

スポーツ報知
後半途中、ハリルホジッチ監督に迎えられる本田(左)(カメラ・竜田 卓)

◆サッカー国際親善試合 日本1―2ウクライナ(27日、ベルギー・リエージュ)

 FIFAランク55位の日本代表は27日、同35位のウクライナ代表と対戦し、1―2で敗れた。1点を追う前半41分、DF槙野智章(30)=浦和=がFKから頭で決めて同点に追いついたが、後半24分に勝ち越しを許した。ロシアW杯1次リーグで対戦するポーランドを想定した相手に敗れ、決定力不足など課題は多く本大会に向け不安は払拭できなかった。日本代表は5月14日までにW杯予備登録35人を選び、同30日にガーナ戦(日産ス)を行い、翌31日にW杯メンバー23人を発表する予定だ。

 これが現実だろう。“仮想ポーランド”ウクライナに敗れ、選手たちは冷たい小雨の中で下を向いた。ハリルホジッチ監督が勝利の流れを作ると挑んだ、W杯代表発表前の最後の海外遠征。1次リーグ対戦国を想定した相手に1分け1敗に終わった。「敗戦で喜べないが前の試合より良いゲームができた」。23日のマリ戦に比べ手応えを感じているようだが、国内組で臨んだ昨年12月のE―1選手権をのぞき、フルメンバーを編成した試合で5戦連続勝利なし。現状ではW杯で躍動する姿はイメージできない。

 5月にW杯予備登録メンバー35人を提出するため当落線上選手の“最終試験”とした2連戦。マリ戦から先発を8人変更してFW本田、MF柴崎らを起用した。テストの意味があったとはいえ、攻撃面での前半の見せ場はFKからの槙野弾のみ。守備では局面での弱さを露呈して2失点した。「決定力の課題はどのチームにもある。カンボジア、シンガポール相手ではないので決定機は多く作れない。メッシ、ロナウドのように違いを見せられる選手はいない」。終了間際に決定機もあったが2点目は奪えず、明るい話題はマリ戦で代表デビュー弾を決め、この日も終盤にFKでゴールに迫った中島の存在のみだった。

 マリ戦後は、打開策のないハリル監督の采配に選手から疑問を呈する声が続出した。報道で知った指揮官が「外部への発言は良くない」とクギを刺し「団結が必要だ」とチーム崩壊回避へ一体感を求めたウクライナ戦。一番の“良薬”だった勝利は奪えずチームには危機感が充満した。

 本来3月は、ある程度メンバーを固定する時期だったが、けが人、所属先で出場機会が少なくパフォーマンスが低下している選手が多く「W杯の準備はまだ不十分」と語る。現時点で課題があることを収穫とする指揮官は「幻想を抱くとワナに陥る。本大会ではもう少し競争力あるチームを見せる」と強気。約2か月半後にチームを劇的に変化させられるのか。ハリル監督の真価が問われる。(斎藤 成俊)

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