【なでしこ】豪州に1-0、5戦無敗で連覇つかみ取った

スポーツ報知
高倉監督のなでしこジャパンの大会成績

◆サッカー女子 フランスW杯アジア予選兼アジア杯 ▽決勝 日本1―0オーストラリア(20日・アンマン)

 【アンマン(ヨルダン)20日=小又風花】FIFAランク11位のなでしこジャパンは、決勝で同6位のオーストラリアに1―0で勝利し、5試合無敗で2連覇を果たした。途中出場のFW横山久美(24)=フランクフルト=が2試合連続ゴールを決め、PKを止めたGK山下杏也加(あやか、22)=日テレ=を中心に守りきった。大会2得点のFW岩渕真奈(25)=INAC神戸=が最優秀選手(MVP)。16年4月に就任した高倉麻子監督(50)率いる若いチームは一戦ごとに大きく成長し、復活の第一歩を刻んだ。

 耐えて、粘って、つかみ取った連覇に、とびっきりの笑顔がはじけた。試合終了の笛が鳴ると、ベンチの選手は両手を上げて駆け出した。ピッチの真ん中に、なでしこの歓喜の花が開いた。高倉監督は「粘り強く、日本らしい戦いでタイトルが取れたのは大きなこと。選手におめでとうと言いたい」と頬を緩ませた。

 試合開始直後から、1―1のドローだった1次リーグ(L)最終戦の対戦よりも激しいプレッシャーに押し込まれた。日本の5本の4倍以上となる22本のシュートを浴び「ずっと守備をしているな、と。90分通して攻められている感じが強かった」とMF阪口夢。それでもPKを止めたGK山下や熊谷ら守備陣が体を投げ出して失点を阻止。後半39分、横山の強烈な一撃が勝利への扉をこじ開けた。

 16年3月、リオ五輪アジア最終予選で出場を逃した。11年ドイツW杯優勝、12年ロンドン五輪銀、15年カナダW杯準優勝。なでしこジャパンの黄金期を彩った“パスサッカー”は研究され、通用しなくなった。澤穂希さんや宮間あやら歴代主将も去り、再建を任されたのが高倉監督だった。

 選手選考や戦術で試行錯誤してきた2年間だった。チームの若返りとともに、日本人の弱点といわれるフィジカル強化にも着手。技術や連係での優位性が失われた分、股関節回りや体幹を中心に全身を鍛え、球際で競り負けない強さを目指した。高倉監督は「シンプルにフィジカル要素も上げていかないと、W杯優勝はなかなか遠いところにある」と地道な努力を続けてきた。

 3月のアルガルベ杯での大量失点。すると選手たちは映像を見ながらミーティングを行うようになった。試合の振り返り、対戦相手の試合、選手の特長。「年下でも思ったことは言っています」とDF清水。前半45分を見返すのに2時間かけ、若手もベテランも関係なく議論し、一体感を増してきた。

 そしてつかんだアジアの頂点。高倉監督は「本当に紙一重の勝負だった。勝利を引き寄せたのは、選手たちの成長以外の何ものでもないと強く感じている」と目を細めた。熊谷主将は「上の人たちはすごかったなと今でも思う。苦しい時期の方が多かった。本当に楽しいことばかりじゃなかった」と実感を込めた。厳しい戦いを乗り越え、自信を手にした若いチームは、19年フランスW杯、20年東京五輪へ向かっていく。

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