遠野、8強へ山本昌邦氏の指導で守備強化!阿部は2大会連続弾誓う

◆全国高校サッカー選手権大会 ▽2回戦 遠野―作陽(1月2日・浦和駒場スタジアム)
5年連続27度目の出場となる遠野(岩手)は、弱点の守備を改善し、作陽(岡山)との初戦(2回戦)に挑む。県予選を4試合14得点と圧倒的な攻撃力で優勝したが、4失点と守備に課題を残した。代表決定後、元アテネ五輪代表監督・山本昌邦氏(59、本紙評論家)の指導を受けて、守備の連係が向上。さらに室内競技場で素早いプレスや判断力を養った。昨年度の大会では県勢8年ぶりの勝利を挙げ、ベスト16入り。今大会ではそれを上回る8強入りを目指す。
全国の舞台では、自信を持って守り切る。遠野は県大会4試合14得点と攻撃的なサッカーが売りだ。昨年度の選手権初戦の松山北(愛媛)戦で先制弾を決めたFW阿部亮太(3年)は県大会で10得点とチームをけん引。「今年もゴールを決めてチームを勢いづけたい」と2大会連続弾を誓った。
一方、長谷川仁監督(52)は「最初の10分で失点しない我慢のサッカーができるようにならないと」と、守備の改善を訴えた。県大会決勝では盛岡商に2失点も3―2で辛勝。4試合で計4失点と課題は明らかだ。
名将の指導で弱点を克服しつつある。同校にサッカー用品を提供するプーマ社が、元アテネ五輪代表監督の山本氏を招いて11月22、23日、サッカー教室を開催。山本氏は〈1〉選手間で声をかけ合い、先にプレスする人間を瞬時に決める〈2〉ボールを持った相手を中央に進入させないよう、囲い込むように寄せて、サイドへ追いやる。細かい取り決めの少なかった守備陣に、基本を叩き込んだ。主将のDF高原優介(3年)は「指導のお陰で、紅白戦や練習試合での守備が良くなってきている」と手応えをつかんでいる。
ハンデも利点に変える。雪の多い遠野地区では冬場はグラウンドが使えず、室内練習場を使用する。DF遠山南海(みなみ、3年)は「狭いピッチなので、素早く寄せたり、判断力も鍛えられる」と山本氏の教えを確認、実践している。
攻守のバランスが整えば、経験値も大きな武器となる。昨年度の選手権では3回戦で準優勝した前橋育英(群馬)に0―1、今夏の高校総体2回戦では優勝校の流通経大柏(千葉)に0―4で敗戦。だが全国トップレベルを肌で感じることができた。「強豪校相手でも、チャンスは作れた。粘りのサッカーをしていけば、勝てるチャンスはある」と長谷川監督。高原も「自分の体を投げ出しても失点しない。昨年のベスト16を超えるベスト8入りを目指します」と07年度以来10年ぶりの8強入りに意欲を見せた。(海老田 悦秀)