【F東京】ミクシィと年1.5億円複数年契約 代々木公園新スタジアムも賛同で実現加速

スポーツ報知
新スタジアムの建設予定地

 サッカーJ1のF東京が、IT大手「ミクシィ」(東京・渋谷区)と年間1億5000万円(推定)のスポンサー契約を複数年で結ぶことが4日、分かった。今月中旬にも発表される。同社のスマートフォン向けゲーム事業などを行う「XFLAG(エックスフラッグ)」のロゴを、今シーズンから認められたユニホームの右鎖骨部分に掲示する。また、東京23区内に3~4万人規模のサッカー専用スタジアムの建設に向け、同社が協力することも判明。2020年東京五輪後にも本拠地移転に向けた動きが本格化する。

 F東京に強力な援軍が現れた。大手IT企業「ミクシィ」が今季からリーグが許可したユニホームの“鎖骨スポンサー”になることが判明。関係者によると、年間1億5000万円の複数年契約で、右鎖骨部分に同社のエンターテインメント事業を手がける「XFLAG」のロゴが入ることになる。

 同箇所は選手名鑑の顔写真にも写るなど広告効果が期待でき、最も高額な胸スポンサーに次ぐ金額となる。スマートフォン向けゲーム「モンスターストライク」が世界で4000万ダウンロードの大ヒットを記録して勢いに乗る同社との契約は、昨季13位に沈んだクラブに大きな後押しとなる。

 今回の契約を機に大きく動き出すのが、東京23区内にサッカー専用スタジアムを建設する計画だ。本拠として使用する味の素スタジアム(調布市)は都心部からのアクセスが悪く、陸上トラックなどのスペースもあり「客席との一体感に欠ける」との声もあった。そのため、クラブは数年前から23区内にサッカー専用スタジアムの建設、移転を目標に掲げてきた。

 さまざまな候補地を検討しているが、理想は都立代々木公園(渋谷区)の南部付近だ。球技場や野外ステージの既存施設周辺で、3~4万人規模のアリーナ型スタジアムを検討。建設費は300~400億円と試算する。昨季の本拠平均観客数2万6490人は浦和に次ぐリーグ2位でアクセスのいい同地に完成すれば、さらなるファン拡大も見込める。

 F東京側の計画にエンターテインメントとスポーツの融合を目指すミクシィが賛同。サッカーの試合以外にライブやイベント会場としても期待でき、本社を置く渋谷に人の集まる場所ができれば、大きなメリットになる。すでに双方で前向きな話し合いが行われており、今後はスポンサー契約とは別に“パートナー”としてスタジアム資金の提供なども想定される。

 建設を目指す同公園内は建築物の高さや面積などに一定の制限がかかる「風致地区」に指定されており、東京都や渋谷区との協議や規制緩和が必要となる。さまざまな障壁はあるが、クラブ悲願の23区内への移転へ、大きく前進することになる。

 ◆新国立はコストで非現実的 収益出る自前スタに舵切る

 F東京が新スタジアム建設を目指す背景には、都心部のスタジアム不足がある。五輪のメイン会場となる新国立競技場の建設が遅れた影響で、15年9月に本拠地の味スタが19年ラグビーW杯の会場に追加された。スタジアム側からは事前の連絡はなく、「寝耳に水の状態」(クラブ関係者)だった。現段階で大会期間前後、約2か月使用できない見通しだが、都内には約2万5000人のF東京の平均観客数が入る陸上競技場すらない。ナイター設備のない駒沢陸上競技場(約2万人収容)で代替する方針だが、収益面での損失は大きい。

 19年末に完成する新国立は、政府が五輪後に球技専用として改修する方針を固めている。水面下でJリーグ首脳らに新国立の運営権の取得を含め、Jクラブの本拠地として使用できないか打診したが、年間約24億円の高額な維持管理費がネックとなり、難色を示している。

 F東京にとって、新国立への移転は現実的な選択肢とは言えず、集客が見込め、収益を生み出すことが可能な「自前スタジアム」への建設へと舵(かじ)を切った。(F東京担当・井上 信太郎)

 ◆ミクシィ 東京都渋谷区などを中心に事業を展開するIT企業。1997年11月、ウェブ求人情報サイト「Find Job!」運営を開始。2004年3月、SNS「mixi」運営開始。06年2月、株式会社ミクシィに社名変更。同9月、東証マザーズ上場。13年10月、スマホゲーム「モンスターストライク」を配信開始し、後に世界で4000万ダウンロードの大ヒット。社長は森田仁基氏。従業員数(連結)は720人。17年3月期の売り上げ2070億円、経常利益884億円。

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