清水のため、日本のためイチは走り続ける…市川大祐氏引退試合に名選手57人集結

スポーツ報知
市川氏の引退試合には往年の名選手が多数集まった

 J1清水エスパルスなどでプレーし、16年限りで現役引退した元日本代表DF市川大祐氏(37)の引退試合が8日、アイスタで行われた。沢登正朗氏(47)、名波浩氏(45)ら往年の名選手、現役選手計57人が参加し、エスパルスオールスターズ(AS)とジャパンASに分かれて対戦。市川氏は両軍に45分ずつ出場し計4得点を挙げた。試合は3―2でジャパンASが制した。

 夢のような時間はあっという間に過ぎた。清水で共に戦った長谷川、大榎、堀池、沢登、代表で苦楽を共にした北沢、名波、岡野がピッチにいた。「今この瞬間が終わらなければいいな」と市川氏。「顔を見れば昔のシーンが頭に浮かぶ。みんなうまいし、楽しい」。万感の思いを込めた90分。試合後全員の手で7度宙に舞い、感慨に浸った。

 本番に向けて準備を進めていた昨年12月20日、右内転筋を肉離れ。痛み止めを打ってピッチに立った。「不安だったけど、みんなと会ったらやれるんじゃないかと思えた」。前半はエスパルスASの右サイドで出場。6分にスルーパスで沢登氏のゴールを呼び込むと、38分には故・真田雅則さんの息子・勲良さんからのパスに右足を振り抜きネットを揺らした。

 後半はジャパンASのトップ下に。16分、小野の浮き球を頭で押し込むと、41分にはPKで“同点弾”。ロスタイムに右足で4点目をぶち込んだ。ケガの影響で代名詞のクロスは出せずとも「みんなが協力して点を取らせてくれた」と感謝した。

 現在、普及部コーチを務めるが、将来的にはS級ライセンスの取得も視野に入れている。清水退団後はJ2、J3、JFL、地域リーグでプレー。自身の経験を後進に伝えたい思いもある。「今後もサッカーと真摯(しんし)に向き合って前に進んでいきたい」。98年、17歳でJリーグデビューし、最年少で代表まで駆け上がった。日本のため、清水のため。イチは走り続ける。(武藤 瑞基)

 ◆盟友たちの贈る言葉

 岡田武史氏「右からのクロスは魅力があって素晴らしい。いろんな形で日本のサッカーのために貢献してもらいたい」

 北沢豪氏「若い時の経験、チャレンジ精神を(後輩に)伝えてほしい」

 長谷川健太氏「イチの楽しそうにプレーする姿を見られて良かった」

 森岡隆三氏「オーバーラップからのクロス。一連の流れが美しい選手だった」

 沢登正朗氏「イチのデビュー戦でスルーパスをもらったのに、決められなかった。今日は決められて良かった」

 名波浩氏「僕に言わせたら怪物。ダービーの魂を忘れずお互いにピッチで戦える日が来れば」

 服部年宏氏「これからも引退後の世界で一緒に仕事できることを楽しみにしてます」

 小野伸二「肉離れしていたのに魂のこもったプレーをしていた」

 松原后「イチさんのように結果を残し、愛される選手になりたい」

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