前半の途中交代、鉄砲肩、過密日程…「高校サッカー新時代」を感じさせた6つの事象

2018年1月11日16時16分  スポーツ報知
  • 8日、初優勝しナンバー1ポーズで記念撮影する前橋育英イレブン

 全国高校サッカー選手権が終わった。決勝戦とはいえ、小雨の埼玉スタジアムに4万人以上を動員させるのだから、日本に「高校サッカー」の文化は完全に根付いている。弊社は記者だけでも20人体制で大会を取材させて頂いた。10日間、選手たちのドラマを追いかけさせてもらった。

 今大会では「高校サッカー新時代」を予感させる戦術、チームマネジメント、警鐘がいくつか見られた。6つの観点から全47試合の激闘の裏側に焦点を当てて大会を振り返りたい。

 ▽前半途中の選手交代

 今大会から交代枠が5に増えた。過密日程を考慮し、選手の疲労軽減を目的に変更されたものだったが、名将たちはこの制度を、うまく利用した。

 長崎総科大付(長崎)の小嶺忠敏監督は、初戦の中京大中京(愛知)戦で前半13分に最初のカードを切った。「(退いた選手は)頭が混乱していた。これは破綻すると思い、早めに交代した」とは試合後の小嶺監督の談話。矢板中央(栃木)は試合開始時は大型FWを先発させて相手DFラインを疲弊させ、主に前半途中から決定力のある選手を投入する戦術をとった。

 ▽地の利を生かす“鉄砲肩”

 流通経大柏(千葉)の本田裕一郎監督は「今はどのチームもロングスローで流れを変える選手がいるからね」と語り、「特に今年は多い」と大会期間中もロングスロー対策に多くの時間を取った。4強に進んだ4チームには、いずれも“鉄砲肩”を持つ選手がいた。

 日本の高校年代は他のサッカー先進国と異なり、陸上競技場など助走距離が長く取れるスタジアムで試合を行うことが多い。日本ならではの“地の利”を生かした戦術と言える。テクニックに秀でた選手がJ下部組織に流れることが多い近年の傾向を逆利用した戦術とも言えるかもしれない。

 ▽土のグラウンド

 長野県勢初の4強入りを果たした上田西は、土のグラウンドで練習を行っている。上田西にとっては練習環境の向上へ向けたアピールになる躍進だったに違いない。また、日本の芝生環境は大きな遅れをとっており、スライディングもはばかれる土のグラウンドで練習を行う学校が大半。私も選手時代はそうだった。練習環境の改善に投資できない学校関係者には勇気を与える結果となったはずだ。

 ▽フットサル軍団

 同じく4強の矢板中央は、夏にメンバー外の2年生を中心にフットサルの大会に出場。練習は週に1度ながら、あれよあれよとフットサル専念のチームを下していき、日本一に輝いた。選手たちは「あれで勝ち癖がついた」「2年生の活躍で、3年生の尻に火がついた」と口々に語った。県内でも負けが混んでいたチームが、全国4強に躍り出た。

 ▽J下部組織からの移籍

 青森山田(青森)のFW中村(J2山形内定)は“転校生ストライカー”。2年時までJ1柏の下部組織に属しながら、選手権への憧れや自身のレベルアップを見据え、3年時から青森へ渡った異色の経歴。連覇には貢献できなかったが、2得点を挙げる活躍を見せた。

 ▽過密日程への問題提起

 準V・流通経大柏の本田監督は、決勝後の会見で、7日間で5試合を戦った日程面に苦言を呈した。「皆さんの力をお借りしないといけない」と報道陣に訴えた。「誰かが言わないといけない」という決意の表れだと感じた。日本代表DF長友佑都が自身のSNSで警鐘を鳴らした文面も、多くの支持を受け、拡散された。「プレーヤーズ・ファースト」の観点での議論が過熱したことは、今後に向けた1つのキッカケになったと思いたい。(岡島 智哉)

  • 楽天SocialNewsに投稿!
国内サッカー
今日のスポーツ報知(東京版)
報知ブログ(最新更新分)一覧へ