【甲府】金園、迷い断ち切った吉田監督の熱血オファー「俺のところに来たらうまくなる」

スポーツ報知
シュート練習を行う金園(中央)。左は吉田達磨監督

 J2開幕まで1か月を切った。甲府にはJ1札幌から期限付きで元日本代表FW金園英学(29)が加入した。ルーキーイヤーにJ1リーグ戦で新人得点数2位タイ(当時)の12ゴールを挙げたが、近年は不本意なシーズンが続く。実力者がチームとともに上を目指す。

 1次合宿最終日も、金園は常に全力でボールを追いかけた。「楽しかった。ルーキーの時のような気持ちでできた。(29日からの宮崎合宿では)もっと状態を上げていきたい」と笑顔をのぞかせた。

 栄光も苦難も味わった。身長184センチの長身ストライカーは、前線の起点にもなり、自ら得点できる万能型だ。「J1昇格の力になれる自信はある」と言い切る。2011年に磐田入りすると、J1リーグ戦の新人得点記録で渡辺千真(当時・横浜M)に次ぐ2位タイ(当時)の12ゴールをたたき出した。翌12年2月に日本代表合宿に呼ばれたが、不運に見舞われた。

 合宿初日に右足第5中足骨を骨折し離脱。その後もたびたび故障に悩まされ、2年目以降はJ1仙台在籍時の15年に7得点したのが最多で、直近2年は無得点だ。「近年は本当にふがいない」と唇をかむ。

 札幌とは契約が残っていたため、迷いもあった。だが、吉田達磨監督(43)の熱い言葉に心をくすぐられた。「知らん電話番号からかかってきて出たら達磨さんだった」と直接、口説かれ、「俺のところに来たらうまくなる」と言われたという。「選手を教える、育てることはすごくたけている方。このまま衰えたくはない」と完全復活をかけ、甲府を選んだ。

 吉田監督からは「いい背中をしているやつがほしい。燃えているような背中をしている選手になれ」とも声を掛けられたという。その言葉を意気に感じている。「FWは先頭に立つ身。闘争心を出してプレーすることで中盤や後ろの選手に伝わるものがあるとも思う」。チームも引っ張ろうとしている。

 今季の目標は「『何を言ってんねん』と言われてもいい。15点以上は取りたい」と掲げた。母校の島根・立正大淞南高のエースナンバーで、こだわりの背番号17を4年ぶりに背負う金園が、甲府をJ1復帰に導く。(三須 慶太)

 ◆金園 英学(かなぞの・ひでたか)1988年9月1日、大阪府生まれ。29歳。島根・立正大淞南高から関大に進学。08年から関西学生リーグで2年連続得点王。10年には43年ぶりの全日本大学選手権優勝に貢献。11年に磐田入りし、新人ながら28試合12得点を記録し、12年に日本代表にも選出された。15年に仙台、17年には札幌に移籍。今季から甲府に期限付きで加入。J1通算114試合26得点、J2通算10試合1得点。184センチ、78キロ。既婚。

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