【二宮寿朗の週刊文蹴】Jリーグ金曜開催は最初が肝心

スポーツ報知

 月末の金曜日に早めの退社と個人消費を促す官民一体のキャンペーン「プレミアムフライデー」(プレ金)が始まって1年。広く浸透しているかどうかと言えば、クエスチョンマークが付く。サラリーマン歴23年の大学時代の先輩に聞いてみたところ「退社時間はいつもと一緒。“プレ金”っていう言葉自体、忘れかけていたよ」と苦笑いを浮かべていた。

 今季のJリーグは史上初めて平日の金曜日に開幕戦を行うことになり、鳥栖―神戸戦の1試合がプレミアムフライデーの23日に組み込まれた。開幕のみならず、シーズンを通して限定的に実施される。

 欧州ではドイツ、スペイン、英プレミアなど金曜開催は広がりを見せている。金曜日が半ドンの習慣がある欧州では定着しやすいかもしれないが“プレ金”がなかなか定着しない日本ではちょっとハードルが高い。Jリーグとしては開催日の分散による露出増が主な狙いなのだろう。だが、観客動員への影響が懸念されている。カップ戦、ACLなどウィークデー開催において各クラブとも厳しい戦いを強いられている現状がある。

 優勝した昨年の川崎を例に挙げてみたい。約2万7000人収容の等々力競技場にリーグ戦1試合平均2万2000人の観衆を集めたが、ACLとの日程調整から金曜日に実施した2試合はいずれも2万人に届かなかった。川崎のスタッフは「ウチのお客さんはファミリー層が多いため、金曜の夜開催はやはり難しい条件になる」と正直な感想を述べる。

 金曜開催を実施する以上、Jリーグもクラブ任せであってはいけない。観戦したくなるような特典があってもいい。“プレ金”と連動する企画があってもいい。「決戦は金曜日」とばかり、率先して動いてもらいたい。浸透させたいなら、最初が肝心である。Jリーグの本気度が試されている。(スポーツライター)

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