【磐田】名波監督、大改革 3バック&4バック“両刀”使い…鹿児島キャンプ打ち上げ

スポーツ報知
雪が舞う中、走る中村(手前左)と田口(同右)

 J1ジュビロ磐田が12日、鹿児島キャンプを打ち上げた。昨季6位からの上積みを目指し、基本戦術を従来の3バックに固執せず、4バックも積極的に採用。名波体制での初キャンプに臨んだMF山田大記(29)、MF田口泰士(26)らが複数ポジションで起用された。初日から最終日の18日間に起きたチームの変化を「見た」磐田担当の山田記者が、指揮官の狙いを探った。

 NHK大河ドラマ「西郷どん」でわく鹿児島で、磐田の猛特訓が始まった。昨季使い続けた3バックだけでなく、4バックにも多くの時間を割いた。「(DF)3枚と4枚。両方使えることが大事」と名波浩監督(45)。実戦時の選手交代のタイミングに、3バックから4バックへ、たびたび変更した。

 フォーメーションの変化への適応に加え、新加入選手を中心に、ピンチに直結する中央の縦パスを封じる「中締め」など磐田独特のルールを叩き込んだ。キャンプでの仕上がりに、指揮官は「順調。FW小川(航基)などのリハビリ組も実戦に出せた」と一定の評価を示した。

 個人にも“二刀流”を求めた。練習試合で、2列目を得意とするMF山田をボランチ、本職がボランチの田口をトップ下に起用。現役時代にボランチやトップ下などをこなした名波監督は「うちに『器用貧乏』という見方はない。ポジションごとに持ち味を出してくれればいい」と意図を明かした。

 MF中村俊輔(39)も「磐田は“形を作りすぎない”。代表にいって、対応できないようではダメ。色々出来ると伸び方が違う」と指揮官の方針に賛同。複数ポジションに対応できれば、チームに厚みが出る。W杯イヤーの過密日程を乗り切る準備でもある。

 鹿児島のシンボル、西郷隆盛を下級武士から引き上げ、重用したのは、「西郷どん」で俳優・渡辺謙演じる薩摩藩主・島津斉彬公。そして幕末の薩摩藩に西洋最新技術を取り入れ、武装化を図り、明治維新の陰の立役者となった。

 磐田の予算規模はビッグクラブではなく、昨季、日本代表の試合に出場したのはFW川又堅碁(28)だけ。名波監督は今年も前例にとらわれない「人材登用」と「改革」を推し進めている。すべては王国・静岡への“大政奉還”を成し遂げるためだ。(山田 豊)

サッカー

×