【仙台】板倉、3バック&ボランチ&アンカー“三刀流”で開幕スタメン

スポーツ報知
パスを出す板倉(中央)

 J1ベガルタ仙台のDF板倉滉(21)が、“三刀流”でタフなシーズンを乗り越える。3次キャンプ先の宮崎市内で16日、紅白戦(10分×3本)を実施。すべて主力組でプレーし、基本布陣の3―4―3で3バックの左とボランチを務め、3―5―2の布陣に変更後はアンカーの位置に入った。安定感あるプレーを見せる21歳が新たなる戦場で成長を目指す。

 若手らしからぬ落ち着きぶりだ。板倉は中盤の底で攻撃を組み立てるアンカーの位置から右サイドを駆け上がるMF古林将太(26)の動きに合わせてロングパスを出した。雨が降るコンディションの中、ボールは古林の右足に収まった。「視野を広く持ってチャンスにつながるパスを心がけている」。堅実なプレーで徐々に存在感が増してきた。

 パスだけじゃない。プレスをかけての高いボール奪取力や「攻撃好き、前への強さが自分の良さ」と話すように、好機を見つけてはタイミングよく攻撃参加。186センチの長身で空中戦にも強く、3バックの左、ダブルボランチの一角、3―5―2のアンカーと3つのポジションをそつなくこなした。

 紅白戦を見つめる渡辺晋監督(44)は「ミドルやロングレンジでのパスを何度もやっているが、(板倉の)精度が高い」と舌を巻いた。度重なるポジション変更にも対応できており、「前向きに複数のポジションを取り組んでくれている。もちろん期待している」と高く評価する。

 今季、川崎から期限付き移籍で加入した。昨季のJ1王者・川崎でのリーグ戦出場は5試合にとどまった。だが、U―21日本代表として1月に臨んだU―23アジア選手権では守備的な選手ながら、初戦のパレスチナ戦、タイ戦と2試合連続ゴールを挙げるなど、8強入りに貢献した。

 成長著しい21歳は新天地で潜在能力の高さを見せつけている。10日のJ1広島との練習試合に主力組のボランチで90分間プレーし、1―0の勝利に貢献。自信をさらに膨らませた。25日の開幕・柏戦(ユアスタ)まで1週間あまり。開幕スタメンの座はそう遠くない。「試合をやりたいという気持ちが強い」と闘志は高まるばかりだ。サッカーへの飢餓感を見せる板倉が、リーグ戦トップ5を目指す仙台のキーマンになりつつある。(小林 泰斗)

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