【仙台】石原、2戦連発「絆」ウェア着て試合前に黙とう

スポーツ報知
「全ての仲間にありがとう。故郷を取り戻すまで俺達は負けない!」と書かれた横断幕を掲げて声援を送る仙台サポーター

◆明治安田生命J1リーグ第3節 仙台1―1神戸(10日・ユアテックスタジアム)

 ベガルタ仙台が、あきらめない気持ちで勝ち点1をつかんだ。2011年3月11日の東日本大震災から7年となる前日に、ホームで神戸と対戦。前半に先制を許すも、後半41分、FW石原直樹(33)がリーグ戦2試合連続のゴールを決め、引き分けに持ち込んだ。開幕3連勝はならなかったが、窮地に立たされても、衰えることない闘志と粘り強いプレーをサポーターたちに見せつけた。

 今季の仙台は簡単には終わらない。土壇場で同点に追いつき、勝ち点1をもぎ取った。渡辺晋監督(44)「本当は勝ち点3を取って(被災地の人々、サポーターに)歓喜を届けたかった」とやや肩を落としたが、「あきらめず、ひたむきに戦う姿を見せてくれた。何か伝わるものはあったと思う」と激闘を演じた選手たちをたたえた。

 震災から7年。試合前には両チームが胸に「絆」と書かれたウェアを着て整列した。大きな震災を乗り越えてきた仙台と神戸が様々な思いを背負い、ピッチで真っ向勝負を見せた。

 仙台は前半27分に先制を許し、0―1で迎えた後半41分。右サイドのMF菅井直樹(33)のクロスに合わせ、FWジャーメイン良(22)がシュートを放つも、当たり損ない、左隣で待ち構えていた石原の方へと転がった。「こぼれ球を狙っていた」と石原は冷静に右足を振り抜き、ネットを揺らした。

 3日のF東京戦に続くゴール。「前半は自分たちが攻めていた中での失点でがっくり来るところだった。チームは前向きにプレーできた」とドローに持ち込んだチームの成長にも目を細めた。

 6年ぶりの開幕3連勝を逃したが、渡辺監督は「昨年は2連勝からここで神戸に敗れてつまづいた。今回は勝ち点1。前向きに考えたい。攻撃で主導権を握れていたのは積み上げてきたものの証明」と自信をのぞかせた。「3・11」という特別な日を目前にして、成長曲線を描いている仙台が、復興のシンボルであり続けていく。(小林 泰斗)

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