【岩政大樹 オン・ザ・ピッチ】「デュエル」勇気持って襲いかかれ

スポーツ報知

 日本代表はベルギー遠征で、ロシアW杯の出場権を逃した国を相手に1勝も挙げられませんでした。それどころか内容もふるわず、特にウクライナ戦では点差以上に日本サッカーの現在地を突きつけられたように感じました。

 2試合を通して見られたのが、個人ではがされる、いわゆるデュエルの戦いで敗れてしまうシーンが散見されたことです。これを「フィジカルの違い」と言って片付けてしまうのは簡単ですが、僕が気になったのは、日本の選手は対峙(たいじ)したときに「どちらに行かせてもいいか」をイメージできていないのではないか、ということです。つまり、日本の選手は右か左かをフラットに待って対応しようとするので、結果的に全て相手に主導権を握られてしまい、一番やられてはいけない方に行かれてしまっているように見えるのです。

 対して、ウクライナの選手は決してフラットには待っていません。万が一“行かれてもいい方”を空けながら対応し、そちらに外されたらそのままファウルをしてしまえ、というような対応をしていました。行かれてはいけない方を絞っているので思い切ってボールにアタックでき、かつ、かわされても大きな傷口にはつながらないのでデュエルで負けているように見えないのです。

 「世界はボールに寄せる」

 「日本はボールを見て止まってしまう」

 これはよく言われるように、日本人の減点方式の考え方からミスを恐れて飛び込まない、という国民性が影響していると思います。しかし、僕はそれだけではない気がしています。細かく守備の判断を与え、全てフラットに対応する必要がなくなれば、身体能力で劣る日本人でも世界のトップクラスに対して勇気を持ってボールに襲いかかれるのではないかと考えています。(東京ユナイテッド、元日本代表DF)

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