【湘南】RIZAPが経営参画 予算増で戦力安定見込め定評ある育成強化にも注力可能に

スポーツ報知
「RIZAP」が経営に参画することになった湘南。J1定着に向けて新たなサポートを得て走り出す

 プライベートジムなどを経営する「RIZAP(ライザップ)」グループがJリーグクラブの経営に参画することが3日、分かった。J1湘南の筆頭株主である三栄建築設計と共同で新会社を設立し、株式の過半数を保有する見込み。スポーツ分野での事業拡大を図るライザップ側と、経営面や戦力面での安定、強化を目指す湘南側の方針が合致した。最終調整を経て6日にも正式発表される予定で、勢いのある企業のJリーグへの“コミット”は大きな話題を呼びそうだ。

 著名人が減量に挑戦するCMと「結果にコミットする」のキャッチフレーズでおなじみの、完全個室プライベートジムを展開して急成長してきたライザップ・グループがサッカークラブの経営に参入する。白羽の矢を立てたのが、チョ貴裁監督(49)が作り上げた運動量と攻守の切り替えの速さが特長の“湘南スタイル”、育成力、地域密着が魅力のJ1湘南だ。

 ライザップ・グループは、2016年に33・36%の株を取得して筆頭株主として湘南を支えてきた三栄建築設計(不動産販売会社)とこのほど新会社を設立。株式の過半数を保有する見通しとなった。15年から男子プロゴルフ大会の冠スポンサーを務め、昨年末にスポーツ専門店「ビーアンドディー」を買収するなど、スポーツ分野の事業を積極的に拡大。サッカー界への参入は、培ってきた経営のノウハウをクラブ運営に生かし、成長戦略の一環として新たな取り組みとなる。

 一方の湘南にとっても、メリットが大きい。年間予算は約16億円とJ1平均約33億円の半分で、浦和の約66億円に遠く及ばない。資金面でビッグクラブに対抗できず、15年シーズン終了後には日本代表DF遠藤航が浦和、MF永木亮太が鹿島に移籍した。毎年のように主力としての活躍が期待される若手が流出し、これまでJ2降格を4度経験。2年ぶりにJ1復帰した今季以降は、J1定着が目標となっていた。

 ライザップ・グループの参画で経営は安定する。身の丈にあった経営をするとみられ、当面の予算は20億円を超える程度になり、選手獲得と引き留めの資金を得ることに成功し、定評のある育成組織の強化に更に力を注げることになる。また、食事面、トレーニング方法での助言、施設利用なども期待できる。クラブ創設50周年を迎えた湘南が、強力サポートを受けて新たな一歩を踏み出す。

 ◆湘南ベルマーレ 1968年、藤和不動産サッカークラブとして創部。93年にベルマーレ平塚としてJリーグ準会員となり、94年にJリーグ昇格。00年に湘南ベルマーレと改称。主なOBは中田英寿氏、呂比須ワグナー氏。天皇杯優勝3回、日本サッカーリーグ優勝3回、アジア・カップウィナーズ杯優勝1回、J2優勝2回。会長は真壁潔氏、社長は水谷尚人氏。

 ◆RIZAPグループ(東京都新宿区) パーソナルトレーニングジムの運営会社「RIZAP」などを傘下とする持株会社。2003年4月に健康食品の通信販売を目的として、東京都中野区に健康コーポレーション株式会社を設立。06年5月に札幌証券取引所アンビシャスに株式を上場。16年7月に新たに健康コーポレーション株式会社を設立し、商号をRIZAPグループ株式会社に変更。17年2月には衣料品チェーン店を展開する「ジーンズメイト」、今年3月には女性向けフリーペーパーを発行する「サンケイリビング新聞社」を子会社化するなど、事業を拡大している。社長は瀬戸健氏。従業員数(連結)5047人(17年3月31日現在)。17年3月期の売り上げ952億円、経常利益96億円。

 ◆「ジャパネットたかた」なども参入

 最近の本格的な経営参画で話題となったのは大手通販「ジャパネットたかた」だ。JFL時代から支援してきたJ2長崎の経営危機が表面化すると昨年4月、同クラブをジャパネットホールディングスの100%出資の子会社にして再建して今季、初のJ1昇格に導いた。また04年、当時の運営会社が民事再生法を申請したJ1神戸の営業権を、インターネット商店街大手「楽天市場」を運営するクリムゾングループが譲り受けた。

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