【清水】8か月ぶり本拠地白星 テセ歴史的弾「引退も考えた」

スポーツ報知
決勝ゴールを決めた北川を祝福する鄭大世

◆明治安田生命J1リーグ第11節 清水2―1柏(28日・IAIスタジアム日本平)

 エスパ、アイスタで勝った―。清水エスパルスは柏を2―1で下し、昨年8月のC大阪戦以来、13試合ぶりの本拠地白星を挙げた。前半34分、FW鄭大世(34)の今季初ゴールで先制。同点とされた直後の同41分にFW北川航也(21)が勝ち越し弾を決め、今季2度目の連勝をマークした。ジュビロ磐田はC大阪のシュートを2本に抑えながら、1―1で引き分けた。

 こらえていた感情がせきを切った。テセはホイッスル直後、ピッチにひざまずいた。「ここまで苦しかった。引退も考えた」。11試合目で飛び出した今季リーグ1号と、262日ぶりの本拠地勝利。「吹っ切れました」と穏やかに笑った。

 前半38分。右CKを頭で沈めた。川崎、韓国時代を含め対柏13試合で9ゴール目。「爽快でした」。キッカーを務めたのは前節の名古屋戦で自身がアシストした金子。試合前日「テセさんにアシストしたい」と話していた後輩に「いいお返しをしてくれた」と感謝した。

 J1通算157試合60得点。実績は群を抜く男が34歳の今季レギュラーから陥落。「出れば2桁取れる」と自負するが、その機会を与えられず“心”の安定を失った。練習ですら「ミスが怖い。新人の時みたい」と漏らした日もある。だが、自分に妥協だけはしなかった。過密日程でも「絶対休まない」とオフ返上で走った。相談に乗ってくれる篠田コーチに「監督は姿勢も見てる。与えられたチャンスで見せろ」と励まされ、必死に前を向いた。

 失点直後の同41分にはスローインを頭でそらし北川の得点をおぜん立て。次は中3日で首位・広島と激突する。「今日で終わりじゃない」。エースが、自分を取り戻した。(武藤 瑞基)

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