【鹿島】3連覇時の指揮官率いる浦和から勝利 語り継がれる07年“魂のミーティング”

スポーツ報知
前半25分、PKを決める鹿島・金崎

◆明治安田生命J1リーグ第13節 鹿島1―0浦和(5日・カシマスタジアム)

  両手をポケットに突っ込んだままピッチを見つめる恩師を横目に、勝利の笛を聞いた鹿島の大岩剛監督(45)は両拳を突き上げた。かつて選手として07~09年の3連覇に貢献し、11年には新任コーチとして師事したオリヴェイラ監督率いる浦和から勝ち点3をつかみ取った。大岩監督は「素直にうれしいことです」と勝利をかみ締めた。

 エースFW金崎はPKを沈めて日本人トップタイの6点目を決めた。温厚な性格のMF三竿健は鬼の形相で両手を振り上げ、鹿島のゴール裏サポーターをあおった。DF昌子と植田の代表コンビもお互いのミスをカバーし合いながら奮闘。「優勝する上で、絶対に負けられなかった」と昌子。MF小笠原、DF西の両ベテランはセカンドボールに猛然と駆け出し、左右からの“同時スライディング”でボールを外にかき出した。GK曽ケ端も好守を連発し存在感を発揮。11人全員が勝利に執念を見せる強い鹿島が帰ってきた。

 鹿島に語り継がれるミーティングがある。逆転優勝をかけた07年の最終節・清水戦前。オリヴェイラ監督は語りかけた。「10年後、大岩は白髪が増えている。岩政(大樹)はビール腹。田代(有三)はヘディングのしすぎで頭がおかしくなり、内田(篤人)は引退試合をする選手になっているだろう。そんな君たちは、10年前に成し遂げた劇的優勝を思い出す。まさにその日が今日。みんなで歴史を作るんだ」

 清水を3―0で下し、V1を達成。その後の3連覇につなげた。そんな伝説の07年も、今季同様に開幕当初は苦戦。13節終了時は今季よりも下の9位だった。それでも終盤の9連勝などで大逆転優勝を成し遂げた。

 “魂のミーティング”から10年あまり。満員の会場で、クラブの偉人が指揮を執る浦和を下しての白星。エースが決勝点を奪い、しぶとい試合運びで90分を終えて今季初の連勝と、今後に弾みのつく勝利を手にした。「常に勝ちを続けていく」と大岩監督。鹿島の逆襲が始まる。(岡島 智哉)

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