【F東京】永井、走った鬼プレスで猛アピール 健太監督「MVP」

スポーツ報知
後半、川崎・武岡(右)と激しく競り合うF東京・永井

◆明治安田生命J1リーグ第13節 川崎0―2F東京(5日・等々力陸上競技場)

 この男にしかできないプレーだった。後半16分、永井はカウンターから1人をかわしたが、2人目のDF谷口にボールを奪われた。だが40メートルをダッシュしていたにもかかわらず、きびすを返し、谷口にスライディング。川崎の攻撃を遅らせた。「暑かったので正直きつかった。でも後ろが頑張ってくれていたので何とかチームに貢献したかった」。後半27分に交代するまで鬼プレスをかけ続けて昨季王者の攻撃を封じ込み、チームを完勝に導いた。

 試合前、長谷川健太監督(52)から「灰になるまでやれ」と送り出された。序盤からこれでもかと相手を追い回し、攻撃では厳しいボールに50メートル5秒8の足で追いついてマイボールにするなど鬼神のごとき働きっぷりだった。後半途中には「足がつりそうです」とベンチに告げたが、指揮官からは「つったら代えてやるから、行けるところまで行ってくれ」と“鬼返答”。交代のお許しが出るまで走り続け、スプリント回数は72分間ながら、両チーム合わせて2位・室屋の25回を大きく上回る36回を記録。指揮官に「僕の中では永井がMVPだと思っています」と言わしめた。

 ロシアW杯で格上と戦う日本代表に必要な人材だ。前線からのプレスで相手を自由にさせないことは当然だが、日本人随一のスピードを持つ永井の場合は奪った瞬間にチャンスに変わる。その武器が世界に通用するのは2得点を挙げた12年ロンドン五輪でも実証済み。今季4得点のストライカーについて、視察した日本代表の森保コーチも「代表候補選手以外にも、状態がいい選手は情報として伝えなければと思っています。収穫のある視察でした」と評価。

 チームも日本代表DF森重の右足ボレーなどセットプレーから2発で、2位を維持。「代表は特に意識しない」という快足FWだが、西野ジャパン入りの可能性は十分にある。(井上 信太郎)

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